2008/12/22

魔法の靴 第3弾


 徐々に増えてきたメフィスト。これはビバリーというシリーズです。右が私のもの。やはり足と一体になる、と使用者談。

クラスメート


ラテンパーカッションのクラス。中央後列の赤いシャツの形が、呉成徹先生。小林幸子のバックバンドでパーカッションを担当されているかた。生徒の方は・・・・来春の発表会に向けて、スローな準備が続いてます(^^)

2008/12/20

プランド・ハプンスタンス理論

 クランボルツ教授のプランド・ハプンスタンス理論は、現代におけるキャリア理論の中心と言っていいでしょう。今日はこの理論を紹介した慶応義塾大花田教授の研究室に所属する塩川太嘉朗さんから、この理論について講義を受けました。NPO法人キャリア・エンパワメントの主催するキャリア理論学習会でです。
 「計画された偶然性」と訳されるこのキャリアアプローチは、終身雇用を前提としない点で現代的と言えます。黙っていてもキャリアが拓けていくわけではない時代において、多くの人に自分自身の考えを伝えておくことがキャリア発展の鍵。種をまいておけば共感する人、協力を申し出る人もいるので、仕事のチャンスが拡大します。このあたりは、「キャリアは死んだ」と言ったダグラス・ホールなどとも共通するところです。
 ここでは、いかに周囲の人に理解されるかが重要。また協力関係を築くという意味では、関係者との間で頻繁にカレンシーの交換が起こっていると考えられます。相手が受け取るカレンシー、つまり価値を提供していくという真摯な姿勢なくして、キャリアの発展もないといえるのではないでしょうか。種をまきながら、発育状態や土壌に合わせて肥料やら調整していく柔軟性も大切。ともに参加した、山本康博さん、人見隆之さんらの体験談をうかがって確信した次第です。
 塩川さん、みなさん、ありがとうございました。

2008/12/18

合併先との協業

 M&Aで統合された組織。メンバーは複雑な気持ちでしょう。先日うかがったのは、買収した会社の方ですが、上司は買収先の会社を警戒してか、態度を硬化させており、両者の協業をどうすすめたらいいのか、といったお話しでした。私自身もこれに近い経験があります。組織の改編に伴う人の移動は、頻繁に起こっているようです。それゆえに業務が滞ることもあるのでは?
 ここも、影響力の法則が役立つでしょう。基本は、相手の考え方、仕事への取り組み方を学ぶことでしょう。こちらから歩み寄ろうという姿勢は、逆に相手を歩み寄らせます。しかし、上述の状況では、かえって上司を警戒させてしまうかもしれません。そこで、あくまでも上司の味方であることを言葉と態度で示すことが重要です。上司の世界を考えれば、合併の結果自分の立場は不安定になっているのです。だから、安定化させたい。上司の立場を擁護することは、部下が上司に対する影響力を高めると考えられています。・・・そのうえで、共通の目標達成にフォーカスすれば、この難しい状況に有効でしょう。

2008/12/16

電車に御札・・・

 大阪出張から戻りました。夜人に会うため、京橋から北浜に向かい、また淀屋橋から京橋に戻りました。京阪電車、です。帰りは淀屋橋始発の快速特急で、これが2階建ての新しいデザイン。でも、なんとなくクラシックな雰囲気が「おけいはん」です。京阪って何度も乗ってないのですが、毎回驚かせてくれます。前に、窓がモーターで動くようになっており、スイッチの横に「パワーウインドウ」と書かれていて、驚いたことがありました。今回は・・・このモダンな特急電車に御札がついていたこと。
 ちょうど、車両のつなぎ目のドアの右上。よく「東急車輌製2000年」などと書いてある位置です。それもちゃんとケースに入っているのです。神棚、というほどではないものの、きれいな白木のケースです。近くまで行ってみたら、「成田山」とありました。お不動さんではありませんか!写真を撮りたかったのですが、優先席付近はケータイ禁止だったので遠慮しました。
 さっそくかえって調べてみると、京阪が大阪の鬼門にあるので、昭和9年に沿線に成田山を呼んだのですね。それで・・・のようです。

 それにしても琴の音の車内アナウンスといい、他のお客さんはヘンだと思わないのか、と見回してしまったぐらい。とても不思議な体験でした・・・(慣れてない私だけです、驚いていたのは)

2008/12/14

行動力、って?

 若手社員の行動力が不足している、中年もだ、などとよくうかがいます。そこで「モチベーション」をあげようと考えます。お金?昇進?家庭との両立?やりがい・・・モチベーションの源泉はさまざまでしょう。

 ここで、モチベーションとは異なるパラダイムを提示しましょう。それは、感謝の気持ちです!影響力の法則は、レシプロシティがその土台になっています。レシプロシティとは、もらったらお返しする、という社会通念。ああ、もらった、と感じることがポイントです。「手伝ってもらっちゃったな、ありがたい」と感じると、返そうという気になる。その力が相手を動かしている、というわけです。
 すぐれたリーダーは、ありがたいと感じることをしてきたか、いましているか、これからすることを約束しています。オバマ次期大統領は国民の期待を高めていますね。実はまだ何も応えていないはずですが、彼の現実的な対応に期待感が高まっています。(一方、我が国の総理大臣も一生懸命手を打ってきています。国民から見ればあまり実績を感じないのは、まだ始まったばかりだから当然ですね。ただ、オバマ氏との違いは期待でしょう。言動の重みなども関係します)この期待感に対して、何かしてやろうと反応したものが選挙での投票行動だったのではないでしょうか。つまり、期待感をもらった、そこでお返しする、と。

 さて、いいたかったことは、何かをもらってありがたい、という気持ちが、人を動かすということです。それは、特定の誰かにもらったというだけではありません。例えば「ご先祖からもらった命」「会社のおかげで」といった表現があります。大事なことは、もらったと感じていることです。ありがたいなと。そういう思いをしている人は、誰かにお返ししようとする。これも特定の誰かというわけではなく、次世代だったり、社会にだったり。年長者が「感謝の気持ちを持て」という理由はここにあると思います。感謝の気持ちがあれば、お返しという形で行動する理由になる。感謝したことないひとにはどうする?私は親のキャリアの話を聞くのがよいと思います。先生でもいいかもしれません。お世話になったに違いない人の話を伺うことで、自分が人の愛を受けてきたことをしる。その現実と向き合うのです。
 学生には、親にインタビューしてくるように、と課題を課しています。年明けにはレポートがあがってきます。このインタビュー自体の効果を、私はねらっているのです。毎回このレポートはとても楽しみ。大きく変わる学生もいますから。

2008/12/05

プロフェッショナルの影響力

 ひさびさに高度なプロフェッショナルの方がたの研修を担当しました。いわゆる「士業」といえども、チームで仕事を進めるのがふつうです。とくにクライエントの規模も課題も大きくなると、何十人ものチームでプロジェクトにあたっています。部下も先生などといわれる専門家。多くの先生の協働が必要です。ところが、これは簡単ではない。高度なプロフェッショナルほどチームマネジメントが難しくなるのは、専門能力の高い部下がいつ辞めてもいいなどと思っていることも、その背景にあります。いい喩えではないかもしれないけれども、最近病院で医師不足が問題になってますよね。過酷な環境でやっていられないと感じたら、他でも雇用の機会が得られやすいだけに、辞めてしまうのは無理からぬことです。(このことで多くの患者と医師と関係者が傷ついていることは、また別の深刻な問題です、念のため)。したがって、彼らの専門能力を活かすための戦略が必要となります。
 ひとことで言えば、やりがいと成長の可能性を感じるように、どんなカレンシーを用意できるか、ということだと思います。若いプロフェッショナルが、何に喜びを見出すのか。リーダーは彼らの目線で真剣に考えなければならないでしょう。そして、若い人をなめたらいけない。私が会っている多くの若者が、荒削りだし、礼儀もなっていないものの、純粋で可能性を感じさせてくれます。次世代は彼らの時代なんですから!

2008/12/03

ビッグスリーの危機

 アメリカの自動車メーカー3社(GM、Ford、クライスラー)の危機は、いよいよ時間の問題になっています。なかでもGMは年内に資金が底をつきます。年内に40億ドル注入してくれ、と政府に泣きついてますね。GMにはお世話になり、Fordにも関わったものとしては寂しいことです。創業140年のリーマンブラザーズが見棄てられ破綻したことを考えると、GMは雇用も含めて影響が大きいので政府から手を入れられるにせよ、GMといえども潰れるんだ、とあらためて驚きます。
 GMとFord、どちらを尊敬するかといえば、私はFordです。20世紀初頭、従業員の給与を他に類を見ないほど高くして、クルマを割賦で買わせる。こうして労働者の未来を買う、そのうえ金融でもうけるというモデルは、20世紀のすごい発明だと思います。やはり労働者を裕福にして購買力をつくった功績は甚大ではないか。それからくらべたら、GMはマーケティング会社かな。でもこうして労働者の未来はサブプライムなどに散ってしまった・・・年金も・・・・。そうして、ここから21世紀が始まるような気がしてなりません。
 21世紀の智恵を結集することが、これから数年の課題でしょう。その時は新しい能力が問われると思います。それだけに、影響力が求められると思っています。

2008/11/24

Bloggerのトラブル、復旧

 このBlogは、Bloggerのお世話になっています。このトラブルで、1週間ほどアクセスできませんでした。私のDomainでErrorがでるようになってしまったのです。昨日ようやくGoogle探して復旧策を見つけ、対応しました。DNSの設定が変わったようです。
 同様の問題でお困りの方は、BloggerのHelp Groupを覗くといいと思いました。

同年代の研修

 私と同年代ばかりが集まった研修を担当させていただいた件、以前にもかいたかと思います。その時の参加者のみなさんの懇親会に参加させてもらいました。みなさんの20余年の経験を、すべて統合したら、かなりの力になるなと。そのためにも、互いに影響力を発揮してほしい。きっと、驚くほど大きな成果がありそうです。まずは、ともに取り組む共通の課題から決めなければね。
 パーカッションには、心強い仲間が。仕事でもおせわになっている、さっちゃんが入ってくれました。すぐに追いつかれてしまいそうなので、俄然やる気になってます(^^)

2008/11/23

今週の篤姫

 NHK大河ドラマ「篤姫」は、いよいよ江戸城開城の一回前になりました。主人公天璋院(篤姫)は、薩摩による総攻撃から江戸城と徳川慶喜を守るために、京都に手を回します。ところが頼みの近衛家は協力してくれない。そこにかつて天璋院の付き人だった幾島が助け船を出し、官軍の参謀西郷隆盛との間の調停役を買って出ます。篤姫からのメッセージを幾島がもってくる。なんという大きなカレンシーだったか。これには、西郷も心を動かされます。しかし、西郷は国政改革の使命感を抱く西郷は心を鬼にして申し出を拒否するのです。
 この場面、相手の状況によってはカレンシーの交換が難しくなることを示しています。本人はできることなら恩返ししたい。でも、状況がそれを許さない。本人は板挟みの状態です。この板挟みの苦しみを理解すると、相手を助ける手(カレンシー)のヒントが見つかるかもしれません。来週は西郷が尊敬する薩摩の殿様の手紙を持ち出すようですが、どう役立つのか・・・

卒業20周年


 大学卒業20年の集いに参加してきました。前日に同窓の先輩から「20周年はおもしろい。みんな、姿が変わっているから」と聞いていたのですが、果たしてその通りでした。見た目だけなら30代から50代まで幅広いですね。それだけ、20年の重みは大きかったのだ、と感じました。
 この20年間に交換したカレンシーが、これからの生き方を決めてくると思います。同時に、今からでもプライオリティをおいたことには、全投入でいきたいものです。

2008/11/17

これが魔法の靴 TANCOです。


 こんな靴を履くと、どんどん歩こうという気になります。ひざが痛い大阪でも、歩きたくなりました。結果的にどれほど安上がりか、興味があります。クルマに乗らなかったり、電車に乗らない分、そして医療費の削減も含めれば、いい靴も高くはないでしょう!

2008/11/15

不自由なあし

 仕事で大阪にうかがっています。日中は初めて天王寺までいき、その後梅田でクライエントの関係者の方にお目にかかりました。実は、しばらく前にひざを痛めて、未だに右足を引きずっている始末。先日は整形外科の医師から、この場所は長引くんですよね、でも大丈夫。今月いっぱいでしょう。といわれて、長いなーと思いながら、先が見えて安心してきたところです。1泊とはいえPC持ち歩いていますから、荷物は軽くありません。そのうえ、慣れない街の地下街を歩いたりして、少々不自由な思いをしています。こんな状態で、大阪駅で女性とぶつかりました。互いに大したことはないのですが、それでも自分のことで精一杯で、黙礼で失礼しました。余裕があれば、もう少し丁寧に対応するのですが。
 今の職場のリーダーも、このような状態でしょうか。全体を見るよりも、目の前のことで精一杯だと、部下や顧客にまで配慮がおよばなくなる。それが影響力を下げてしまいますね。組織は、彼らに対する援助を忘れてはならないでしょう。また個人は自分の体をメンテナンスしないとね。

 メフィストのシューズで移動したために、ひざは痛くてもどんどん歩けてしまいました。ほんとうにすごいな。

2008/11/13

叱る

 ああ、やってしまった。大学の授業で、学生が落ち着かないので、怒ってしまいました。「でてけー」などといって、いいながら嫌だなーと思ったんだけど、いった方がいいと思って。
 叱るというのは、叱る側にも大きなリスクがあります。相手が誤解すればその後ついてこなくなるし、部下からの評価もあり得る現代組織では、マイナス評価をいただく可能性もあります。なにより自分をさらけ出さなければならない。今日はそういう意味では少し危ないと感じました。最初に叱ったとき、学生が飲み込めていなかったからです。何で叱られるのか。その反応を見てからは、今度はこちらがエッジに立っている気持ちになりました。「やばい、やりすぎた」ひとつまちがえば、言葉の暴力となります。
 そこで、なぜこんなにも怒るほど叱るのか、心を込めて説きました。ほんとうにそうです。また景気が悪化して学生の採用は厳しくなるでしょう。連日ニュースでも内定取り消しとか、きな臭い話しをしています。2010年以降、採用状況は厳しくなること間違いありません。基本的には、組織はリストラ傾向にあるのです。段階の世代が大量に退職したという大企業でも、戦略的な人材以外は機械がやってくれるか、外注しています。本気でないひとは採用されないでしょう。自分が採用担当者だったら、ほんとうに会社に貢献する人以外は不要だし、幹部に引き合わせたくもない。平均的な学生を紹介したら、採用担当者は責められるのですから。そんな厳しい環境でも、彼らには、ハンディをものともせずに社会にこぎ出してほしいし、幸福なキャリアを送ってほしい。望む仕事にたどり着いてほしいのです。ですから、そのようなこちらの意図を、説明しました。わかってくれたんじゃないかな。それで一安心。
 でも、叱るのは疲れます。疲れたとしてもやらなければいけないときがある。目が覚める、ものの見方が変わる。そんなしかり方をしていきたいものです。来週からは、こちらも自分で言った以上のことをしていきましょう。大きなカレンシーの交換になるといいですが・・・

2008/11/11

小室哲哉のキャリア

 最近セミナーが続き、うっかり守秘義務に反するリアルなことを書いてしまいそうになるので、少し中心から離れた話しになりがちです。
 先週詐欺の容疑で逮捕された小室哲哉について、考えること。彼のように億万長者になって、「おまえの才能で稼げる」などといわれた人が、どのような意思決定をしてきたのか。大いに興味のあるところです。報道によると、音楽に飽きたらず音楽ビジネスに舵を切っていたようですね。ひとつの見方は、自分に合わない、あるいは不相応な領域に手を出したということ。音楽家でいればよかったのに、という人も少なくないでしょう。
 でも年間20億も稼げる人を、周りがほっとくはずはない。そうして上手いことのせられてその気になって、色々やってしまったのではないでしょうか。このような周囲の力に逆らうことは難しい。金持ち(成金?)、才能のある人ならなおさら。実はみんなの世話になってきていることを知っているから、お返ししなければとどこかで思っているに違いありません。たぶん、本人悪い人ではないと思います。被害者も「更正を望む」といっていますね。でも、人生の構造が変わったときに、意思決定も思ったようにならなくなる。みんなの圧力に負けてしまうわけです。
 ここで謙虚でいられる人は強いですね。自分はそうありたいとは思いますが、やはり難しいでしょう。だから、全財産を寄付する人が出てくるのだと思います。自分が恐いですからね。

2008/11/09

有頂天ホテルとキャリア

 三谷幸喜氏の作品、映画「the有頂天ホテル」を観ました。あるホテルの大晦日のできごと。わずか数時間の人間模様を描いたものです。この作品にはキャリア自律のプロセスが描かれているようで、おもしろかった。来年はいい年にしよう。登場人物はみんなそう思っています。転職、告白、結婚など、大晦日にリセットしようとする。でもそう簡単ではありませんね。会社を辞めて、夢をあきらめて国に帰ろうと思っていた若者。結局またあきらめずに続けることにする。追い込まれて自殺しようとした代議士。勇気をふるって記政治生命にかける。今の仕事に誇りを見出したあとでは、同じ仕事に就いていてもまったく異なる自分になっているはずです。これこそキャリア自律の体験でしょう。変わったのは周囲ではなく、本人の内面だ。覚悟を決めるんですね。すると、周りも動いてくれたりします。
 そんな体験が数時間にうちに何人にも訪れるのがおもしろい。それを長回しで撮る。さすが三谷作品、とうならざるを得ませんでした。一度授業で使ってみたいけど、ちょっと長すぎますね。

2008/10/28

目標設定

 ITベンダーのプロジェクトリーダーのお話を聞きました。メンバーがプロジェクトに対する責任感が乏しい。モチベーションが低いように見えるのだそうです。そこで、これから各自の目標を再度確認していくと。
 現在のプロジェクトでは、メンバーの多くは協力会社から来ています。混成チームですね。そこで各自の目標を強調すればするほど、自分の仕事しかやらなくなる可能性がある。各自の目標だけやっていればいい、というように聞こえてしまうからです。しかし、リーダーとしてはもっと顧客や会社の利益のために働いてほしい。ここは、ジレンマだと思います。
 こんなときには、何かエモーショナルな理由が必要だと思います。話しを聴いているうちに、燃えてくるような。協力する理由がいるのです。そもそも自分のプロジェクトに燃えるものを感じないなら、リーダーシップを発揮するのは難しいと思います。別のリーダーの方が言っていた、自分の役割を熟考するというのは、意味のあることです。きっとカレンシーはそこにあるんですよ。

2008/10/27

『産業カウンセリング辞典』

 金子書房より『産業カウンセリング辞典』が発売になりました。本辞典は日本産業カウンセリング学会監修、編集は松原達哉先生、木村周先生、桐村晋次先生らによるもの。帯には「働くことを巡る諸問題を理解し、効果的なカウンセリングを展開するための必携書!」とあります。こちらの「コンサルテーション」『派遣労働」の2項を執筆いたしました。私の項目はともかく、645項目、77の人名項目は読み応えありそうです。ぜひお手元にご用意ください。

靴の効用 1

 以前書いたように、縁あってメフィストという靴と出会いました。靴などに興味なかった私としては、初めて靴に目覚めた、というところでしょうか。いや、人前で話す仕事柄、足の負荷を減らすことは考えてきており、以前から健康シューズのたぐいにはお世話になっていました。なかでも、ビブラムソールやecco、もちろんNikeのAirやMerrelには大変お世話になってきました。この場を借りてありがとう、といいたいと思います。
 ところが、このメフィストで靴の概念が変わったといっても大げさではありません。まず、今までの靴は足に合っていなかったことがわかります。今回TANCOというタイプのシューズを買いました。私はこれまでだいたい26-26.5cmを選んできました。高校生のころは27.5など履いた記憶があります。大足ではないものの、自分の足は小さくないと思っていました。ところが、今回選んだTANCOは25.5です。これでピッタリ。すでに足の一部になっています。若干足の先にさわるのですが、それは問題ではありません。それ以上に足のつま先を除いて、すっぽり包まれて動かない。つま先だけが自由になる。この初めての感覚に驚きます。裸足で歩いているよう。でもクッションの衝撃吸収はこれまでで最高。ちょっと空を飛んでる感じです。
 こうなると、いままでクルマでいっていたところ、少しでも歩きたくなります。せっかく出会った靴の感触。クルマを使わなくなれば、その分省エネにもなる、と。さて、どうなることか・・・。つづきはまたあらためて。

2008/10/25

クライエントとの関係

 クライエントとの関係づくりは、営業やSEのかたにとっては大きなチャレンジだと思います。IT関連の開発会社を経営する友人が、元請けベンダーがクライエントに対して弱すぎると、嘆いていました。今日、ある研修の参加者の声を読んでいたところ、やはり同じような状況の難しさが指摘されていました。クライエントとベンダーの上下関係は、一度「上下」と認識されてしまうと、それをあらためるのはほんとうに難しくなると思います。「下は上のいうことを聞くものである」という思いこみは、ほんとうに強いですよね。友人は「官尊民卑」という言葉を3回も使いました。今世紀に入って初めて聞いた言葉を一晩に3回も聞くとは・・・彼が言いたかったのは、それほど客と業者の関係は型にはまってしまっている、ということだと思います。
 さて、どう対応できるでしょうか?私には、これという解がありません。ただ、ひとつ意表をつくことはできるでしょう。つまり、下が下として当然の用に期待されている、その期待をいい意味で裏切るのです。今日ふと思い出したことがあります。私は社会に出て1年目。自動車会社に就職した私は、販売会社に出向し販売研修に臨んでいました。クルマのセールスをやっていたのです。ご存じのように、クルマは価格交渉をして買う日本では珍しい消費財です。どれだけ値切れたか、はある種の「男の勲章」のようなものであり、値切ることを楽しみにしているお客さんもいらっしゃいました。最初から「いくら」という話しになって、まず購入に結びつくことはありません。そういう方は、買うことやクルマを使うことよりも、しばしば値切ること自体が目的だからです。ご本人も途中から目的がすり替わってしまうのでしょう。ですから、販売側の課題は、いかにして値引きの話しではなくクルマを使ったときの価値の話しに持ち込むかなのです。いろいろと試行錯誤したのですが、あるとき私は価格交渉にしないキメ言葉を見つけました。それは、「いくら値引きするの?」といわれたら、相手の目を見てにやっと笑い「お気に召すまで」と応えることでした。こうすると、大抵のお客さんは、ちょっと驚いたような顔をして、それから私の話を聞いてくれるようになりました。大概の販売担当者は同じ質問に対して、「えー勘弁してくださいよ」とか「うちも厳しいんですよ」とか、まじめに応えてしまいます。こうして値引きゲームのわなにはまってしまっていました。「お気に召すまで」は、意外な回答、意表をつかれるようです。
 でも、この対応は2つの点で理に適っています。それは「お気に召すまで」が、「私は価格交渉ゲームはしません、お客さんにも喜んでいただける Win-Win ゲームをします」、と宣言するようなメッセージになっているということです。後にカウンセリングを学んでいるときに、カウンセラーがクライエントに対してとる戦略に似たようなものがありました。ゲームの流れを変えるというのは、例えば論理療法やTA理論の中にあります。昨年なくなったアルバート・エリスは、クライエントに歌を歌わせるのを好みました。これなど、非合理的なセルフトーク(頭の中での思いこみ)を断つのに役立ちます。主導権をこちらに持ってこられるというわけです。もうひとつは、実はお客さんがお気に召さないなら、いずれにしてもこの商談はないことになります。購買の意思決定は売り手ではなく買い手にあるのですから、私の台詞はばかばかしいほどあたりまえのことですよね。しかし、これがお客さんが求めている本質を突いているということも事実です。「気に入れば買う」というあたりまえのことを、お客さんに思い出させた。それによって、主導権がこちらに移ったということでしょう。
 遠回りになりましたが、ベンダー側がクライエントの意表を衝けないか。そこで私が言えるのは、ゲームの流れを変えること、その際に相手がほんとうに望んでいること(それは本人も気づいていないか忘れていることが多い)を、先にこちらから言ってあげることにあるような気がします・・・ということです。それが何であるかは相手次第・・・・そこが難しいところ。でも売れるセールスマンは、多かれ少なかれそんなことをやっていました。
 カレンシーには接待とかお愛想とかより、安くて効果的なものがまだまだありますよ。(この項続く)

2008/10/14

アイデンティティ

 またしてもご無沙汰してしまいました。この間、京都へ上洛。昨年知り合う機会を得た僧侶の方と食事しながら人生について語り合い、翌日彼の薦めもあり比叡山を歩いてきました。比叡山にいけば「一隅を照らす」運動をしている、この教育熱心なことを見てこい、といわれるのです。
 比叡山をバスで登っていくと、そこが修行の場所としては極めて厳しい環境であることがわかります。修行者たちはここで自然と向き合うことになります。もちろん自然を通じて自分自身とも。人ひとりの見ている世界など小さいと気づかされるのではないでしょうか。
 延暦寺を訪れて感心したのは、あちらこちらに比叡山で修行した開祖が紹介されていること。それも生い立ちから詳しく紹介されています。法然、親鸞、日蓮、一遍。鎌倉時代にひらかれた第三世代?の宗派は、みな比叡山で修行して、そこから旅立っている。会社でも学会でも自分の組織を出ることを良しとしないのが一般的でしょう。海上自衛隊の江田島で部隊を離れる隊員に対する集団暴行があったと問題にされていますが、ヤクザの世界に見られるように?、集団から抜けるのは難しいし、出てから独り立ちするのも難しい。ところが、比叡山延暦寺はこんなに大勢の開祖を生みだしているのです。講堂には叡山を開いた伝教大師(最澄)とならんで、主な出身者の肖像画が並んでいました。この懐の深さに感心してしまいました。結果的にオープンで、弟子たちを信じている組織が、すぐれた弟子を生みだすのではないでしょうか。
 最近自分自身「教育者」としての意識が高まっています。私の仕事だと、教育、経営コンサルティングなど、かんがえようによってはいろいろな役割があるのです。この変化についてはまたあらためて、として、やはり次世代を育成する役割に惹かれているとしかいいようがありません。「一隅を照らす」運動について、具体的に理解していませんが、世界を見よう。小欲ではなく大欲に生きよう、といっているようです。自分自身のアイデンティティが問われる思いがしました。

2008/10/02

今日から後期の授業

 私は、週1回大学の授業をもっています。今日から後期が始まりました。今回は1-4年生とすべてがそろいました。彼らのキャリアにどのようにプラスの影響をおよぼせるか。1回目の授業では、いつもばらばらな感じですが、今日は思い切ってチャレンジしました。全員の心に届くように意識して。彼らにはできる、と信じて、思い切りぶつかってみようというわけです。どういう変化があるか楽しみです。

2008/09/29

日経システムズ誌に記事が載りました

 『日経Systems』10月号(日経BP社)に、私と同僚入江の記事が載りました。38-39ページです。タイトルは「カレンシーの交換、その一言がリーダーシップの源になる」です。お読みいただければ幸いです。

年上の部下

 年上の、あるいは自分よりも専門能力の高い部下、メンバーにどう対応するか。今日出会ったプロジェクトリーダーの方は、メンバーが情報を抱えてしまっており、組織運営に苦労していました。はっきりと「会社のためには文書にしない」といっているのだそうです。
 一方、今年入社した若者が、思ったように力を発揮できずに苦労しているリーダーにも会いました。この若者、大学院をでて入社した期待のホープだったのだそうです。「元気がいい」というふれこみでした。でも今は、すっかり元気をなくしているとか。
 ちょうど、ヴィクトール・フランクルを読み返していたところ。フランクルは、ナチスによる強制収容所における人間の心理を、囚人として観察した、心理学者で精神科医です。彼は、意味への意志を見いだすことが、虚無感から脱却できるかどうかを左右すると述べています。私たち、毎日の仕事を通じて意味を見失っていくところがあります。でもふとした出会いから、生きること、働くことの意味を再発見できます。たとえば、お客さんの感謝の声を聞いたり、子供の成長を感じたり。「ああ、このために生きているんだ」と思うと、生きる喜びが湧いてきます。
 彼らに生きる喜びを感じさせることができれば、そのときリーダーシップを発揮したといえるでしょう。意味を感じさせることこそ、大きなカレンシーです。あす、ふたりが何かきっかけを掴んでくれるとよいのですが。

2008/09/26

自分中心

 どこか自分中心に世の中がまわっているように思っている人、いますよね。自己チューというのか、わがままというのか。とても丁寧でスマートなマナーのひとでも、なぜか相手は「この人自己中心的」と察知してしまいます。
 これで、影響力が発揮できなくなるのです。マイナスのカレンシーを配って歩いているのですから。「周りの人たちが協力してくれない」と思ったら、自分を疑ってみた方がいい。
 告白すれば、自分の半生にはそんなできごとが少なからずあったと反省。ひとつひとつ相手を裏切らない努力が必要ですね。毎日、少しでも人の役に立てるよう心がけていきましょう。

2008/09/24

「働くことは恩返しである」

 これは、インターンシップを経験してきた学生のことば。「これまでどれほど周りの人たちのお世話になったか。それを考えると恩返ししなければならないと思いました。まずできることは、後輩たちに指導することです」ときっぱり述べたのです。授業中に、ちょっと身震いするほど感動しました。仕事を通じて社会貢献します、という学生はとても多いのです。みんなよいことをしたいと思っている。でも、この学生の一言がもっとも説得力がありました。これが社会貢献の本質ではないでしょうか。彼女が言葉通りに生きていけば、多くの味方をつけ、信ずるところを進めるでしょう。
 これこそ、カレンシーの交換が長いキャリアにわたって実践されることだと思います。

2008/09/22

純日本的会社組織

 純日本的な会社組織なるものがあるのかどうか。でも、アメリカ系の会社と日本の大企業を比較すると、誰でも何かが違うと感じられるでしょう。一般的には、日本の方が集団主義的で、アメリカの方が個人主義的。協力して成果をあげるという点では、日本の組織の方がすぐれていると考えられています。ところが興味深いことに、日米の集団主義度合いの比較調査によると、日米の研究者いずれの調査も、日本よりもアメリカ人の方が、集団主義度合いが強いということになっています。このあたりは、山岸俊男氏の著作などに詳しいです。
 いずれにせよ、日本は身内の中での結束は強いように思います。ここによそから人が入ってくると、とたんに混乱するのでは。たとえば、プロジェクトに他者からの人材が入ったとたんにドタバタになったりしますよね。また、仲間同士仲が良くなければならないと思っている傾向も強いと感じます。ですから、まずは飲みに行って、仲良くなって、ということでしょう。チームビルディングの研修をやると、必ず「じゃあ、みんなで飲みに行きます」という人が必ず出てきます。飲みに行って、何か仕事の話しをしているのかと思ったら、個人的な情報交換が多いですよね。そうして、チームづくりに時間がかかりすぎる。「日本人は、まず飲みに行かないと仕事しないなあ」ということを、中国人やアメリカ人と一緒に仕事をしている人から聞きました。私の経験にも一致してます。
 さて、私がカレンシーの交換で考えることに価値を感じるのは、仲良くなくてもいいということです。仕事で協力できればいい。だから、好きとか嫌いも関係ないはずなのに、好き嫌いを職場に持ち込むことが少なくないですね。これは、「同僚とは仲良くなければならない。仲良くなければ仕事にならない」という思いこみによるのだと考えています。仲良くなくてもいい、と考えたら、もっと多くの人と協力関係をつくれるだろうに。ここはひとつのポイントですね。

2008/09/20

カルトな(元)販売員

 ファシリテーターという仕事柄、長時間履いていられる靴を選んできたものの、私は今までそれほど靴には関心がありませんでした。ですから、雑誌にある4万とか5万とか10何万とかする高価な靴を選ぶなんて・・・と思ってきたものです。
 でも、今回縁あってメフィストに出会い、ちょっとした衝撃を受けています。これはまったく別物なのです。ご存じの方はご存じでしょう。メフィスト。フランスの健康シューズです。工程の3分の2ぐらいが手仕事なので、高級品。味わいがあります。今まで履いてきた靴の2倍ぐらいの値段。
 昨日は、都内某所で何足かのメフィストを試着する機会に恵まれました。ここで以前メフィストを販売していたという方とお話しをしました。すでに百貨店を定年退職しているのに、あれはボランティアで見えているのでしょうか。他のお客に靴の選び方、履き方、手入れの仕方などを楽しそうに話してまわっているのです。うかがってみると、靴のデザインにはひとつひとつ機能的な意味があります。まずはここが選ぶポイント。それから履き方はかかとから合わせて、と。こういうお話しを、実に楽しそうになさるのです。「こっちより、こっちだ」などといわれると、そうに違いない、と思ってしまいます。お勧めはどれか、とうかがったところ、1-2足選んでくれました。結局それらを買ったのです。
 いやあ、影響力のある方で。やはり楽しそうに話すと真実味を感じます。好きなこと大きな力になりますね。大いに靴に興味が湧いてきました。ちなみに、他のお客さん同士が靴自慢などしているので驚きました。ぜひ多くのかたに試していただきたいものです。

2008/09/19

独裁社長

 またしても食品問題が起こっています。今度はコメ。今日の報道によると、コンビニのおにぎりにもなっていたとか。どこまで流通しているのでしょうか。先日、分子生物学者で「生物と無生物のあいだ」の著者、福岡伸一氏が、どこかのコラムで書いていました。混ぜものは恐い。どこまで拡がってしまうかわからない、といったことでした。(彼はBSE汚染の研究をされていたと思います。とても美しい文章を書く科学者でいつも感心します)その時の福岡氏の論旨は、だから二酸化炭素の排出権取引には疑問がある。混ぜてしまえばわからない、と・・・
 さて、こうして食品問題が起きるたびに社長が出てきて頭を下げますが、彼らの顔が似ているのに驚きます。それは、ウソをつき通してそういう顔になったのか、いよいよ告白するのでそういう顔になったのか。確かに言えるのは、部下に強要してきた独裁者としてのマネジメントでしょう。興味深いのは、やはりそんな上役には何も言えないものなのか・・・・言えないだろうな。でも、何も言わなかったことを悔やんでいるだろうな。みんな解雇されてしまいましたよね。「影響力の法則」で上司に物言う方法にヒントが得られたら・・・これも私が何とかしていきたい課題のひとつです。

2008/09/17

麻生氏で決まりか

 前回からなんと2週間以上もたってしまいました。なにごとも、ちょっと油断すると時間が流れるのは早い・・・
 さて、前回からの続きのトピックでいうと、自民党の総裁選挙でしょう。(ちょっとこじつけ)一昨日の読売、今日の朝日と各紙は「麻生氏が過半数」と分析しています。過去に何度も挑戦した人が、この選挙に勝つ、という形は、小泉元首相を思い出しますね。
 麻生氏のことを存じているわけではありませんが、以前彼の部下だった方の話しを聞いたことがあります。麻生グループには数千人の社員がいるが、麻生太郎氏はすべての従業員の顔と名前が一致するのだそうです。その方によると、すれ違いざまに「よっ、今日奥さんの誕生日だったよな」とか言われて(このような言い方かどうかは不明)、部下たちはみなじーんと来てしまうのだそうです。そして、太郎さんのためにがんばろうと。なんという、(美しい)カレンシーの交換か!こんなこと誰にでもできるわけではないでしょう。少なくとも、従業員を大事にしていなければできないですね。部下はそう感じるから、これは大きなカレンシーになります。
 私はなんとなくジョージ・W・ブッシュ米国大統領と似ている気がします。あのマンガの話しとかが、なんとなく。多くの若者にとって、「総理大臣がマンガ読んでる」のは、大きな救いでしょう。他の大人がマンガなんか読むな、といっても「総理も読んでますよ」と言える。これはもっと大きなカレンシーかもしれないな。

2008/09/02

首相の辞任

 福田首相が辞任しました。これしかなかったのだろうな、と感じました。次の選挙は麻生さんでと決めていたと思いますし、あとはタイミング。一部の報道で見られるとおり、早く総選挙をしたい公明党に配慮したのではないでしょうか。勝手な推測に過ぎませんが・・・
 首相のような仕事でも、周りを動かしていくのは難しいと、あらためて感じました。ポジションだけでは人を動かせない。また一事例を見たというわけです。
 長く仕事をしていれば、色々なところに貸し借りができる。カレンシーの交換です。交換が影響力になっているというのが、影響力の法則の基本概念です。ですから、首相のようなポジションで人を動かすには、そうとうあちらこちらに貸しを作っている必要がある。これまでそういう人が選ばれてきたのでしょう。ただ問題は、貸しがあるということは少なからず借りもある。しがらみですね。それゆえ、逆に思うようにならないことが少なくありません。小泉、安倍、福田の三氏の特徴は、この貸し借りが少ないことだったのではないかと思います。それぞれ閣僚経験はあったかもしれないけれども、どちらかといえば、孤高の人たちなんじゃないでしょうか。柔道の石井選手の言い方にならえば純粋ということです。だから、孤立しがち。これまでの大物、たとえば竹下派6奉行(だったかな)のようなしがらみだらけとはちょっと違う。だからこそできたこともある。郵政や道路の民営化とか。一方そのためにできなかったことも少なくないはず。協力者が少ないのだから。大連立に失敗した時点で、辞任は当然の帰結なのではないでしょうか。
 この辞任を国民がどう見るか。マイナスのカレンシーと受け止めれば、だれが総裁になっても苦戦は必至。組閣次第では、マイナスのカレンシーと受け止められないかも。この大逆転に掛けているんじゃないかな。すべて推測ではありますが。いずれにせよ、この後の景気後退をうまく乗り切るリーダーシップを発揮してほしいですね。

2008/08/30

大学でも・・・

 大学のような研究機関でも、上司だからといって部下を動かせるとは限らない状況のようです。学術的な領域では、わかい准教授や助教の方が知識がある。「知っている教授 知らない若い研究者」という前提はくずれていると。これは私たちの恩師からうかがったお話です。現代共通の課題のようです。だとすると、研究、教育とも組織的な力を十分に発揮するのは容易ではないですね。
 こうなると、教授にも、若い研究者にも影響力の法則が必要でしょう。若手には自分を活かすために、教授にはリーダーシップを発揮するために。現実はどうでしょうか。

2008/08/24

グローバルな視点 2

 前回のプロジェクトマネジャー(仮にAさんとしましょう)の見方の変化について、ですね。この方、上司の事業部長がとても教育熱心です。ですから、もっとグローバルな視点をもて、と常日頃言われています。グローバルな視点、といっても、どうやら具体的に手を取り足を取り教えてくれるわけではない。「もっと考えろ」というわけです。Aさん自身も、頭では分かります。しかし、いざとなると自分の担当分野だけしか考えなくなる。そうしてアウトプットしたものは突き返される、というくり返しだそうです。
 こうやって、より高い視点でものを見て、考える習慣が身に付くのだと思います。私たちどうしても自分の利益を考える。しかし、より高い視点で全体に目を配ると、他を優先させた方が全体的な目標達成になるような場合もあります。そんなときは、自分の利益を犠牲にしてでも、他を手伝うかもしれない。仕事の仕方が変わるわけです。ただし、これはリスクが大きいですよね。自分の目標が達成できないかもしれない。このリスクを乗り越えられるかどうかが、実は上司が期待していることだと思うのです。
 このようなリスクを冒す姿を見て、他のメンバーがAさんを助けてくれるようになる、つまりカレンシーを渡しているので、返したくなるかもしれない。この積み重ねがどうかを、上司は見ているはずです。Aさんの場合は、グローバルな視点に立脚した行動がとれるかどうか、ご本人のチャレンジだと思いました。この先社内外で影響力を高められるかどうかが、かかっているのに違いありません。

2008/08/23

グローバルな視点 1

 「影響力の法則セミナー」に参加された方のフォローアップのために、静岡までうかがいました。たまたま事業所が近所のかたが参加されていたのです。おふたりはエレクトロニクスメーカーと精密機器メーカーのプロジェクトマネジャーです。それぞれ学んだことを試行錯誤されたり、無意識に実践していたり、それなりに成果があったと手応えを感じました。
 おふたりのうちおひとりは、海外の拠点の品質管理のレベルを日本並みにすることが課題です。ところが、買収した海外企業の、プライド高い技術者は、いくら本社のマネジャーだからといって真剣に話しを聞くとは限りません。そこで、カレンシーの交換を意識されたのだそうです。「何を渡そうか、何を返そうか」と。相手がカレンシーと感じれば、こちらの期待に応えてくれる可能性も高まります。結局どうしたかというと、先方に役立つだろう手法とアイデアをフリップチャートに書き、部下に英訳させて説明したのです。これが効きました。「話しは聞くが何もしない」と思われていた「日本人マネジャー」。しかし、彼は他とは違うところを示したのです。話の途中から真剣みが高まり、最後には耳を傾けてくれるようになったのだそうです。相手の立場に立つことは必ずしも容易ではない。しかし真剣に考えれば、相手も動いてくれる。この発見こそ多くの悩めるリーダーにとって、大きな成果ではないでしょうか。
 この方、仕事に対する見方が大きく変化しているように感じました。次回続けましょう。

2008/08/22

ソフトボールの優勝

 北京オリンピック。ソフトボールで日本が金メダルを獲得しました。選手、関係者のみなさん、おめでとうございます。
 今回は、サッカーといいソフトボールといい、女性チームに見るものがあったように思います。チームとしての一体感がある。勝利への執念や気迫が感じられる。みなさんどう思われましたか?私は何となく今の日本の男女の現状を示しているようで、複雑でした。
 さてこの結果。女性が強いという見方もありますが、大金をもらっているプロが弱い、と考えることもできます。サッカーも野球も日本のスター選手ばかり。(サッカーはA代表ではないですが)年俸も女子サッカーやソフトの選手の数倍から数十倍でしょう。それなのに、男性の「代表チーム」は真の意味でチームになっていない。協力、コミュニケーション、コミットメント、気迫。いずれもイマイチ。チームに必要な要素を欠いています。これは高給取りが良い仕事をするとは限らない好例と言ってもいいでしょう。オリンピックの報奨金をもっと出せばいい、と言われるかもしれません。でも年俸何千万も何億ももらっている選手が、いくらの報奨金ならやる気になるのでしょうか。おそらく彼らは金で動くのではありません。彼らにとって、金は有力なカレンシーにはならないのでしょう。
 野球はまだ決勝トーナメントが残っています。ここから何かが変わることを期待しています。

2008/08/20

池田記念館

 富士通沼津工場にある、池田記念館を見学させていただきました。池田敏夫氏はコンピュータの天才。独自の国産コンピュータを開発、市場に出しました。このストーリーはプロジェクトXでも取り上げられたはずです。記念館には当時のFACOMが展示されており、稼働する姿も見られました。かたかたと軽快な音をたて、幾何の計算します。ディスプレイは、昔映画などで見たぴかぴかとランダム(のよう)に点灯します。このコンピュータは日大理工学部に納められ、YS11の設計に使われたそうです。先人の努力に大いに感激しました。
 ところがやがてIBM互換機の時代になります。ここですでに役員であった池田氏自身が、互換機への転換を図ります。この勇気ある決断が、結果的には会社を大きく飛躍させることになります。しかし、部下たちの失望も大きかったはず。もちろん、みずから切りひらいた独自路線に見切りをつけるなど、容易にできることではありません。どのような背景、思いがあったのか、ぜひ知りたいと思います。ジャーナリスト田原総一朗氏の『日本コンピュータの黎明 』に書かれているかな。読んでみることにしよう・・・
 少なくとも、私利私欲ではなくコンピュータと社会の未来を見据えていたに違いありません。

2008/08/17

ルーフバルコニーと小菜園



 学生時代の友人、柴田君のお宅を訪ねました。彼が結婚して以来もう1年。上級生としては新婚家庭を邪魔したくない。まあ、ちょっと遠慮していたかな。新居は豊島区内の10階。ここは周りが低層の上にルーフバルコニーつきですから、気持ちいいですね。まずは枝豆を収穫し、学生時代に親しんだ街を見下ろす。それから、新妻(いつまで通用する言葉でしょうか?3年ぐらい?)の手料理。この方は料理ジャーナリスト?だから基本的にはセミプロです。スープもトマトソースのハンバーグも、いずれも旨かった。
 20年もたてば、みんなそれぞれしがらみがあるんだなーという部分と、変わらないなーという部分が織りをなしていますね。松山千春をこんなに聞いたのは、今世紀初めてでした。その一方、みんな社会でそれなりの仕事をしている。ここはしがらみのなし得る技。レシプロシティが働いていますからね。

2008/08/15

やったつもり

 「カレンシーを渡したつもり」には気をつけなければいけません。相手があなたの意図を理解しているかどうか。善意の意図を誤解されてしまったら、相手はカレンシーを受け取らないかも。こうして活かされないカレンシーは、案外少なくありません。
 部下や奥さんにちゃんと説明してますか?相手はわかっている、なんて思いこんでいたら失敗するかもしれませんよ。

2008/08/14

情報開示

 プロジェクトリーダーの方々のお話を聞いていたところです。本当にご苦労されていますね。協力会社のメンバーからやる気を引き出すのは、とくに難しいようです。メンバーの専門能力への依存度合いが高まっていますから、あつかいは難しい。言い方を間違えて、気分を損ねられたら大変なのでしょう。腫れ物に触るような様子もみてとれます。
 いくつかのケースで問題だと感じたのは、メンバーへの情報開示が少ないことです。リーダー、サブリーダーはプロパー社員ですから、会議も頻繁、情報共有は問題なし。ところがそこからメンバーへは担当者ごとに仕事を割り振るのみ、ということが多く見られます。「これこれお願いします+平身低頭」が少なくないのですね。
 しかし、メンバーのやる気を引き出すために、ここは工夫が必要と思います。もっと積極的にカレンシーを用意する、と。例えば、プロジェクトの全体像を見せる。プロジェクトの意義を伝える。リーダーレベルの情報を積極的に開示し共有する。これらは、すべてメンバーのやる気を引き出すカレンシーになり得ます。権限委譲と情報開示でメンバーのやる気を引き出すことを、エンパワメントと呼びますね。権限と情報をメンバーのやる気と交換しているわけです。

2008/08/12

シンガポール観光

 シンガポール政府観光局に旧友柴田亮平君を訪ねました。学生がシンガポールにインターンシップに行くので、事前にアドバイスをもらえると思ったからです。彼は学生時代の友人。でも仕事について話したことはありません。シンガポールについての話しもおもしろかったのですが、私にとってはそれ以上に柴田君がシンガポールを熱く語るのが印象的でした。仕事と一体化しているような感じ。魂入っているというのかな。これは有効なカレンシーですね。
 まだ見ぬマー・ライオン。私、シンガポールに行ってみたくなったのは言うまでもありません。

2008/08/11

小塩先生とFor Others

 フェリス女学院理事長の小塩節先生から、フェリス女学院の歴史についてうかがう機会がありました。フェリス女学院は2010年に創立140周年を迎える、日本でもっとも歴史の長い女学校といわれています。そのモットーは "For Others" 他者のために、他者とともに、です。これは新約聖書、フィリピへの手紙から引用されているものです。今回うかがったのは、大正時代第3代校長のカイパー女史が、卒業式で述べた言葉「強い人格を他者への奉仕によって(in service to others)育む」でした。どうやらモットーとなったいわれはここにあるようです。
 この他者に奉仕することによって、人格が強められる、という考え方に、影響力の法則とのつながりを感じます。つまり、相手の立場に立とうと思えば、なかなか厳しいことです。他者との関わりは思うようにならないことばかりです。忍耐しなければならないことも多い。人生観が変わるのも、他者との関わりがきっかけであることが少なくありません。他者との関わりを通じて、自分が成長するという考え方は、私が影響力の法則に感じている魅力そのものです。若い学生にもそのようなメッセージを伝え続けたいと、あらためて思います。
 小塩先生とははじめてお目にかかりました。60年代から85年まで、NHKテレビのドイツ語講座を担当していらっしゃいましたので、お世話になった方、少なくないでしょう。お話しのおもしろさ、部下たちの心に寄り添う姿勢には、大いに感銘を受けた次第です。

2008/08/05

カニと交換



 実は休暇中で、親族を訪ねて北海道に来ております。ありがたいことに、北の海の幸、畑の幸で歓迎してもらい、楽しんでおります。
 最大のヤマは、やはり根室の花咲ガニです。北方領土周辺で危険を冒しながらとってくるのでしょう。記憶を辿れば、日韓ワールドカップの開催中に、花咲ガニをめぐって、南北朝鮮が海上で撃ち合いをやったと思うのですが。このカニは、領土問題に発展しても不思議がないほど、美味であります。カニというより、やどかりの仲間らしいですね。独特の濃い味わいがあります。
 このカニは、地元の方でも容易に手に入るものではないようです。やはり地元の関係者とのつながりが重要。何年もおつきあいのある、カニ業者から送ってもらうそうです。毎年買うので、季節になると電話がかかってくるとか。やはりこういう積み重ねなんでしょうね。一見さんには入手困難だろうな。でも、毎年買うだけではないそうですよ。こちらからは、ジャガイモとかオホーツクの豊かな土地の農産物を送っている。こういう気配りが、売り手と買い手の関係を強めていくのでしょう。ここでは、品物とお金のやり取りだけでなく、モノも交換されているし、最終的には小さな信頼の積み重ねがある。こうして社会が成り立っているんだ、と気づかされました。
 花咲ガニですか。それは、声も出さずに黙々と食しました。教えてもらった手順で解体し、食べられるところはすべてすくされて、食べ尽くしました。その姿を見てみんな喜んでくれる。こうしてきれいに食べることは、ご馳走してくれた先方に対するカレンシーになるんですね。写真は、食前食後のカニの姿です。ご馳走様でした。

2008/08/01

編集者の仕事

 今日は「ステークホルダーマネジメント」セミナーを実施してきました。ステークホルダーマネジメントは、プロジェクトマネジメントの一領域です。そこに影響力の法則で応えようというものです。その中に、今回初めて編集者の方が参加しました。編集者はプロジェクトマネジャーとはもちろん違いますが、やっかいな人々の協力を得なければならないという点で、ステークホルダーマネジメントしていると言えます。
 最大の課題は、ライターに期日までに書かせることだそうです。それも良い内容を本気で書いてもらわなければならない。そのためには、もちろん原稿に対して報酬を支払うのですが、記事を書けばライターとしての評価が上げること、また仕事の機会が与えられること、多くの人の目にとまることなど、編集者がライターに渡すカレンシーがいくつもあることに気づかされました。良い記事を書けば、ライターにとってキャリアのチャンスが拡がるのです。そう感じる人は、真剣に良い仕事をするに違いありません。こうしてカレンシーの交換を繰り返していくうちに、信頼関係を築けるのでしょう。ですから、編集者としてはライターに誠実に接しなければならないなと思いました。
 ところで、新聞記者出身の彼が言うには、新聞よりも雑誌の方がウラをとっているのだとか。それを聞いた一同は一様に驚かされました。みんな逆だと思っていたからです。雑誌の方針によるのかもしれませんが、ちょっと意外。そうなんだ。

2008/07/31

膨大な情報

 今日のセミナー(とあるメーカーのプロジェクトリーダー研修)でお目にかかった方が、こういっていました。今の仕事は膨大な情報を抱えている。そのうち半分ぐらいは無駄なものかもしれないし、どれが役立つのかもわからない。だから、関係者で情報を素早く共有し、使えるものを組み合わせていかなければならない。なるほどね。そうして初めてプロジェクト成功の入り口に立つのでしょう。
 ここで自分の持っている情報を他のメンバーと共有するのは、やはりカレンシーの交換と言えます。こちらの情報を出す、かわりにあなたの情報をもらう。そうして、要求される高度な仕様に応えるための糸口を見いだす。この交換は、相互の理解を必要としながら、早く行われなければなりません。技術的な知識レベルとコミュニケーション能力、両方の高さが求められます。そしてもちろん、関係者に共通の目標と目的が、認識されていることが条件になるでしょう。逆にひとりで抱えていては、仕事になりませんね。自分の情報を開示することがカギになるだろう、とその参加者は言っていました。同感です。

2008/07/29

信頼関係と影響力

 私たち、信頼できる相手の話なら聞いてもよい、と考えるのではないかと思いますが、みなさんいかがでしょうか?これは言い換えると、信頼でいる人から影響を受けやすいと言うことです。「彼が言うんだから、間違いないだろう」とよく言いますよね。部下が話しを聴くリーダーも、信頼される人と言っていいでしょう。ジョン・コッター教授は、信頼を積めば「信頼預金」になり、影響力につながると表現しています。スティーブン・コヴィー博士は「信頼残高」という表現も使っています。要するに、人を動かしたければ、日頃からの信頼関係がとても重要だということです。
 先日、以前勤務した会社で他部門のマネジャーだったかたから、うちの会社で研修をやってくれ、といわれたときは、嬉しかったですね。当時私ごときが信頼に値したのかな。これはとても大きなカレンシーでしょう?こうなると思い切りお返ししなければ、と思います。レシプロシティの法則はやはり働いています。相手の立場を考えたら、こうした方がいいんじゃないか、などというアイデアも湧いてきます。彼の意図に応えられれば、また信頼されるというもの。ビジネスはそうやって動いているわけです。このあたりを、社会心理学者で北海道大学教授の山岸俊男博士は、商人の原理で社会関係が豊かになる、というような論理で説明されています。商売が人を磨く、という主旨のことを、松下幸之助氏、稲盛和夫氏など、多くの経営者が述べています。商売に限らず、何でもやりとげれば当然と思います。

2008/07/27

インドの衝撃=影響力の法則の衝撃 でした。私には・・・

 NHKスペシャルで、先週と今週3回にわたって「インドの衝撃」が特集されました。人も金も集まってくる様は、フリードマンが『フラット化する世界』(日本経済新聞2006)で描いたものそのもの。人口10億人ですから、迫力がありますね。
 私がもっとも衝撃を受けているのは、そのままでも鍛えられて頭の回る人たちの、コミュニケーションのすさまじいこと。先日製薬メーカーの研究開発部門でのミーティングの様子が映されていました。これが立ったままのブレーンストーミングで、どんどん結論を出していくのです。互いの見解にオープンですから、やりとりしながらどんどん新しいアイデアが出てくるのですね。それも早い。これこそ「影響力の法則」が、職場に機能しているひとつの結果です。
 それとくらべると、グループ会社になった日本の製薬会社の生産部門では、みんな姿勢を正してシーンとしていましたね。交換が少ないから、アイデアが共有されない。このままでは何もでない。アイデアがでたとしても、リーダーにこっそりささやく。それは「リーダー、あなたがひとりで責任を負ってくださいね、私は知りませんよ」といっているようなもの。リーダーが自ら首を絞めていく姿に、目が釘付けになりました。脳(能?)停止状態だなあ。心配。

2008/07/25

イベント終了とブログの書評

 「影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル」が、Dain氏のブログ「わたしが知らないスゴ本を、きっとあなたが読んでいる」にてスゴ本として取り上げられました。ありがとうございます。こちらのコメントは、読み手の方の視点がよく分かり、とても勉強になりました。この方相当読んでいらっしゃいます。
 そのおかげ+日経ヒューマンキャピタルのおかげ(かな)で、Amazon.co.jpでは、ひさびさに順位を100位前後まで順位を上げました。なにか我が子の成績が上がったような嬉しさですね。

 一方、日経ヒューマンキャピタル2008では、本日夕方のワークショップに、100名を越えるお客様にお越しいただきました。40名以上のみなさまに、入場いただけないという不手際で、まことに申し訳ないことです。
 それでも、あらためてみなさん上司や同僚、難しい部下との関係に苦慮されているのだと再認識できたのは収穫。とくに年々ますます変化が激しくなっていますから、上司や他部門のリーダーを早く巻き込み協力してもらうことは欠かせないようです。印象としては、複雑な製品、サービスを提供されている企業ほど、影響力の法則に関心をお持ちのようです。
 ワークショップが、みなさんのお役に立てると嬉しいのですが、ご参加のみなさん、いかがだったでしょうか。

2008/07/24

日経ヒューマンキャピタルでお会いしたみなさんとの会話

 日経ヒューマンキャピタル2008も、今日で二日目。昨日は約9,000のご来場者数だったことを考えると、今日はそれを上まわったと感じました。暑い中多くの方のご来場をいただき、ありがたいと思っています。私は人材開発関係に20年関わっています。そのような私には、このイベントはちょっと場違いと感じるほどまぶしすぎます。若い人たちが大勢がんばっています。以前はどちらかというと若くない人の業界だったと記憶していますが、変わりましたね。また、行動科学系の人が多かったのが、今はビジネスコンサルタントから参入している人が多いと思います。基本的な学習のフレームが大きく変わってきた、と感じます。

 さて、本日お話しさせていただいたみなさま。ありがとうございます。業種、職種は様々でしたが、権限を使わずに人を動かす、というコンセプトには、どなたからもご賛同いただけます。みなさん悩んでいらっしゃるのですね。印象としては、ビジネスが複雑になるほど、この悩みが大きいということ。製品が複雑で部品点数も多いようなビジネス、グローバル組織など、複雑なビジネスに関わる方々の方が、より難しい状況にあることがわかります。そういうときほど、早く協力関係を築くことが求められるはず。現場ではたいへんご苦労されているのではないでしょうか。あらためて、そのような仕事の現場で「影響力の法則」がお役に立てると思った次第。
 一方、他人のことなんか知らないよ、という人々が職場に増えているのが悩ましい、というお話しもうかがいました。このこともときどきうかがいます。うーん、確かに悩ましいですね。私はこう考えます。まずは、自分の仕事が他者がいないと成り立たないということを、あらためてよく認識しなければならないでしょう。ほとんどすべての情報は、本、ネット、会話などによって他者を通じて入ってきます。すべてを体験することは、現実的ではないですよね。自分が判断し決断するための情報のほとんどが、他者を通じて得られるという事実に目を向けること。そのあたりまえのようなことを、みんなで心がけるしかないんじゃないかなあ。つまり、レシプロシティが働いている事実を受け入れるようにすること。これが、結果的に人が協力してくれる条件だと思います。

2008/07/23

親の話を聴く


 今日で前期の授業は終わり。学生さんたちは、最終レポートを提出してくれました。「人生の先輩にキャリアの足跡をうかがう」という課題です。今年は父親に訊いた人が多かったですね。昨年よりも。ついで母親かな。
 それで、今日はインタビューから学んだことを討議しました。その中で、親など周囲に振り回されずに自分で決める、といったことを話してくれた学生がいました。インタビューしたお母さんは、そうしてやってきたのだとか。できればそうありたいと、誰でも思うでしょう。成功のカギは、おそらく親にはっきりと自分の意思を伝え、味方につけることに違いありません。ではどうしたらいいのか。
 ひとことで言えば、親の話をよく聴き、理解することだと思います。親の側からすると、「いくらいってもわからない」娘や息子の話を聴く気にはなりません。仕方がないから、「わかるまで」しつこく言う。だから聴きようがない。しかし、「うちの子も最近大人になって、親の言うことがわかるようになったかな」などと思われると、本当に大人あつかいしてくれるのです。これが、学生には知ってほしいことです。
 実は学生以上に、会社員にも知ってほしい。「親」を「上司」に言い換えてみましょう。「わかっている」と思われるまでは、話しを聞いてもらうのは難しい。ここが組織を生き抜く戦略。法則3です。
 それにしても、今日はヒューマンキャピタル2008のあと大学でしたから、暑い中へとへとでした。

今日から日経ヒューマンキャピタル2008


 今日から日経ヒューマンキャピタル2008が始まります。昨日会場の設営をしてきました。今日は途中で抜けて大学の授業にも向かいます。みなさんとお会いできるのが楽しみです。

2008/07/21

頭を下げる

 ドラマ「監査法人」は、週末に最終回を迎えました。現実の監査法人の仕事ぶりとはずいぶん違う、というコメントが多かったですが、まあドラマだから楽しめればいいでしょう。最終回は、また大いに楽しみました。
 まずは、元上司。橋爪功演じる元理事長が、主人公に自分たちの世代が築いてきたものについて説く。オイルショックのときも、将来を信じて対応してきた。お互いの努力を信頼して乗り切ってきたのだと。今は、ルールーを厳格にするばかり。もっと将来を見据えられないか、とのメッセージです。正しければ良いわけではない。
 次いで、若い主人公(塚本高史)が二度人に頭を下げるところ。一回目は顧問になることになったメーカーのトップに頭を下げる。もう一回は、監査を頼みに訪ねた元勤務先で、これもまたもうひとりの元上司に頭を下げる。すると相手が態度を変える。この頭を下げるというのが、本気を示すことになるのだと思います。下手に出るのはリスクですからね。こちらを信頼できるか推し量っている相手にとって、これは大きなカレンシーになるのでしょう。そういえば、心から頭を下げる場面というのを、めったに見なくなった気もします。私自身、アメリカ系の会社にいたときから、自分が頭を下げなくなったと思ったことがあります。かわりに手を振る(^_^;) 今になって、それが日本社会でカレンシーの交換を進められなかった原因だと感じます。また偉くなると頭を下げられないというのもありますね。
 相手と本気で付き合うのなら、自分の正当性を横に置いて、本気のところを示さなければならない。それはリスクを負っていることを示すことです。ところがこれが簡単じゃないんだな。何が本当に大事なのか、自分のプライドなのか、ミッションなのか。忘れないようにしたいと思います。

2008/07/20

教員採用試験の不正

 大分県の教員採用試験がらみの問題が、連日報道されています。「ああ、やっぱり」というのが本音。私が学生時代も、コネがなければ教師にはなれないとか、校長に紹介してもらいなさい(誰を紹介か、聞いておいてもよかったな)、などとまことしやかに言われていました。
 しかるべき人に商品券を渡し、子息を採用させる。このようなカレンシーの交換は、汚職の典型的な構図です。これほどまでに、レシプロシティは強い、としか言いようがありません。渡せば返ってくるのを期待できる。もらったら返さなければならない。だからこそ、本来の目的を見失ってはいけないのです。権限を持てば、頼りにされます。頼りにされるというのは、嬉しいもの。それ自体が大きなカレンシーになります。いったん金品を渡されたら、自分はどう反応するか。やはりお返ししなければならなくなるでしょう。だからこそ、断る力が必要になります。自分の中に筋が通っていないと、自分でもコントロールできない力が働いてしまいます。ちょっとならいいか、ということにはならないのです。
 今回のようなケース。権限を持つ人がおねだりしているところにあきれます。官製談合などもそう。しかし、これは一度始めたら、その人の欲望でかたづけられないほど、強い力が働いているからと考えた方がいいのではないかな。少なくとも、Aさんにやったのと同じぐらい、Bさんにも公平にしなければならないでしょう。最初に断る強さが肝心ですね。

2008/07/18

長い取引

 今日お会いしたエレクトロニクスメーカーの営業の方のお話しです。その方は、電子デバイスを他のセットメーカーに売っている。もう10年以上も同じ会社を担当しているのだそうです。最近の課題はやはり省資源、省電力。価格競争力も高めたいセットメーカーは、色々難しい要求をしてくてきます。しかし、長年同じお客さんを担当しているその方は、お客さんにも強い発言力を持っているようです。「価格を下げるなら、ここをこうすればよい」などとアドバイスして、ついでに他社のデバイスを自社製品に切り替えてしまう。この影響力たるやたいへんなものですね。
 ここに至るまでに、長いカレンシーの交換があったのでしょう。相当の蓄積もある。だから、顧客が営業担当者のアドバイスに聴く耳を持つ、というわけです。これはその場限りの取引とは違う。長い取引には、一見さんには難しい重みがありますよね。こう考えると、一方的に渡すだけでなく、カレンシーの交換を続けること自体に、意味があるような気がします。交換を続けることが、カレンシーになるのかな。
 ひとつ心配なのは、この方以外にこの仕事を担当できる人がいるのかどうか。きっと夏休みもないんだろうな。

2008/07/17

身内の感覚

 お取引先の方との間に「身内」の感覚がつかめたら、仕事はぐっとしやすくなりますよね。先日もあるプロジェクトが一段落し、お客様と顔を見合わせました。この瞬間、相手との壁がまたくずれたな、と実感します。
 売り手側は、顧客に買ってもらおうとしますから、あの手この手でカレンシーを渡そうとします。顧客にとって有益と思われる情報を、売り手は次々と用意します。それに価値を感じると、顧客側は注文すると言っていい。これは売り手と買い手のカレンシーの交換です。面白いのは、顧客側が、注文以上のカレンシーを返そうとすることです。たとえば、食事に誘ったり、とても丁寧に接してくださったりしますね。私は、これは、カレンシーのバランスをとろうとしていると考えます。こちらの方がカレンシーを受け取ったと感じていると、いざというとき売り手の言うことを聞かなければならないような気がするからです。興味深いことに、ここで買い手側の好意を受け取った瞬間に、相手との距離が近くなった、身内になったという気がしますね。カレンシーのバランスがとれて、ここからが人間同士の付き合いだからかな。
 しばしば買い手のご好意に甘えるのもよいのは、こういう背景があるのだと思います。

2008/07/16

誰の役にたちうるか?

 このたびの日経ヒューマンキャピタル2008では、ワークショップのタイトルを「あの上司さえ動かす、リーダーの秘密」というタイトルにしたところ、ほとんど一番最初に満席になってしまいました。(みなさま、ありがとうございます)
 これはとりもなおさず、人材開発関係の方々、あるいは現場のマネジャーの方々のご苦労のもとが、上司であるからに違いありません。「親の心、子不知」といいますが、「上司の心、部下知らず」の反映かななどと思っております。来週に向けて準備しています。みなさんの反応が大いに楽しみです。(ご招待状はまだありますから、お知らせくださいね)

あいさつに反応なし

 朝家の近くを歩いていました。ちょうど小学生が登校する時間。多くの児童が学校に向かいます。その途中で年配の男性が一生懸命「おはようございます」と声をかけている。多分校長先生だと思います。ところが、子供たちの反応が少ないんです。一部の子は先生の顔を見ている。しかしほとんどの子供は、返事をしないばかりか顔すら見ない。少なくとも先生と同じぐらい元気に挨拶をする子は、ひとりもいない!
 これはどういうことでしょう。私は思わずその男性に尋ねました。「子供の反応はどうですか?元気ですか?」すると「声が出ませんね、気持ちはあるんですよ」と子供に代わって、理由を述べてくださいました。うーん。このまま大人になって会社に来るんでしょうか?
 原因として考えられること。1.もともと人間関係を知らない(子供ってそういうものかもしれない) 2.先生のカレンシーが不足している(というより正確にはマイナス、ストレートに言えば嫌われている) 3.朝ご飯を食べないので、朝は元気でない(これもあり得る)これぐらいしか思いつきません。1であれば、カレンシーの交換が社会を作っていることを教える必要があります。2であれば、先生として期待を上まわる対応を考える必要があります。挨拶の仕方はファミレスのウェイトレスみたいだったなあ。これでは子供が教師を下に見るんではないか。それを見直した方がよいかも。3なら食育。いかがでしょう?

2008/07/14

課長には権限がないか?

 今日お客様とお話ししていて、先日の日経ビジネスの記事が話題になりました。「名ばかり管理職」について、課長クラスの7割強が「いる」と回答し、会長・社長になると8割強が「いない」と回答している、という調査結果です(日経ビジネス7月7日号」)。この「名ばかり」について言えば、定義がやや不明確な気もしますが、問題認識としてはようやく話題になったか、という感じです。バブル崩壊以降、というより90年代の後半からリストラを進めて以降、少ない人数で最大の成果をというのが、どちらの組織でも共通のテーマだと思います。ですから、課長といえどもプレーヤーであることから逃れるのは難しくなっているのでしょう。どなたもそのようにおっしゃいますから。
 さて、私は、「名ばかり課長」とは、実は「周りの人が動いてくれない課長」のことだったら面白い、と思いました。「課長になったのに部下が動かない」が問題の本質だったら、これはアラン・コーエンが80年代にInfluence without Authorityを書いたときの状況、そのものです。「私たちは職位があがると、権限も強まり、人を動かせる」と思いこんでいますね。これはわれわれ組織人共通の思いこみです。その結果、「部長になったらもっとみんなが動いてくれるんじゃないか」などと考えるのです。社長になったら、社員を思い通りに動かせる、などと考えますよね。ところが、アランとデビッドが見たところ、少なくともアメリカでは80年代にそのような権限で人は動いていなかった(その理由は「影響力の法則」に書かれており、今日は割愛します)。それから20年近くたって、いよいよその現実が常識になってきたのだそうです。つまり、「名ばかり課長」には権限がない、のかもしれないけれども、権限があっても人を動かせないのかもしれない。「権限」が空洞化(というか意味をなさない)しているような状況。したがって、ひょっとしたら部長になっても、社長になっても部下は動かないのかも知れない。仮に、総理大臣になっても部下は思うように動いてくれない。
 「名ばかり課長」の本質が、ここにあったら面白いでしょう?私はこれはあたっていると思います。組織のトップの方は気づいています。「トップになったのに、誰も思い通りにならない」でも課長は気づいていないから、一層苦しい。「もっと上に行けば動かせるのに」無い物ねだりは、苦しいですよ。

2008/07/13

アンサンブル

 ラテンパーカッションを習っています。このお話、以前もしましたね。今日はいつもの呉成徹先生ではなく、先生の先生石川武先生の指導を受けました。パーカッション教育の第一人者。もちろんプレーヤーとしても第一級。1対2で学べるなんて、贅沢だなあ。
 さて、今日はアンサンブル。まずは、ポンチョ・サンチェスのかっこいいラテン・ジャズを聴いて、マンボのアンサンブルパターンを学び、次いでわれわれもコンガ、ボンゴ、ティンバレスで臨みます。ひとつは先生がプレイするので、全く問題なし。あとのふたつは私たちなので、なかなか大変です。だいたいプレイするのに精一杯で、他のプレーヤーの音を聴いていない。だからあわせられない、ということになります。
 先生によると、これは隣の音を聴いているのが大切なのだと。それであわせていけばよい。隣はどうしているかというと、また隣を聴いている。こうしてあわせていくのだそうです。自分の演奏だけでは不足なのですね。まあ、あたりまえですけど。これは、やはりアンサンブルにはカレンシーの交換がある。ひとつの音楽になるっていいですね。実はここでひとつの世界ができているのです。あわせられると、気持ちいい。これがカレンシーとなる。ここで、互いに影響をおよぼしあっているのは、やはり創造性を発揮するプロセスそのものという気がします。下手な私でも、あわせられると気持ちいいですよ。その理由は、こんなところにあるんじゃないかと思います。
 先生が学校で言っているのは、「プロになるなら仲のいい同志で組め」ということだとか。それが望ましいですよね。今のビジネスの現実は、仲の良い悪いでなく、とにかくあったこともない人と組まされてしまいます。ここにチャレンジがあるし、影響力の法則の出番もあると考えます。やはり、隣の音を互いによく聴くことだな、と思った次第です。

2008/07/12

みょうなカリスマ(その2)

 ドラマ「監査法人」では、主人公の友人がベンチャー起業家のホープとしてもてはやされます。これがまたみょうに前向きな男で、いやなことを忘れさせてくれる雰囲気。そうして全国の高齢者からフランチャイズ権料として大きなお金をかき集め、会社を上場させるのです。この男、金のためにやっているなどとは決していいません。若者の未来を切りひらくのが使命だ、などとうそぶいています。聞いていると夢がある。冷静に考えればビジネス的には破綻しているのに、夢を感じるから「いける」ような気がする。そうすると高齢者が多額の権利料を出資する。カレンシーの交換で考えると、ある意味で理に適っています。しかし、前回も書いたように、この手のカリスマは長続きしませんね。次回最終回には破綻しそうです。理由はいくつか考えられますが、ひとことで言えば夢は覚める、ということではないでしょうか。欲は限りないとしても、欲に応えるには限度がありますよね。金もいくらでも入って来るというわけではない。
 もうひとつ興味深いのは、このように金が集まる話しには、それに群がる黒幕のようなものがあるということです。ドラマでも暗示されていました。彼らと交換を始めたら、止めるのは難しい。またなんとか受け取らせようとするカレンシーを断るのは難しい。まずはこちらに信念があることが、欠かせないでしょう。
 目の前にお金が来たときにどうしようかな。私の場合、手が出そうになるとは思いますが(^_^;

2008/07/11

iPhoneと影響力

 今日はiPhoneが販売開始され、驚くほど多くの人が徹夜してまで買いに走りました。
 この影響力、やはり何か新しいことが始まる、というワクワク感がカレンシーになっているとしか言いようがありません。私はAppleの広告の一貫したデザインが好きです。時間がたつとデザインの一貫性はくずれることが多いだけに、このあたりにも秘密があるように思います。本当に何かが起こるような気がするんですね。この点、学べるなと私は思います。一方、昨日も書いたように、消費を喚起するような影響力は、長続きしないような気もします。どうなっていくでしょうか。
 さてiPhone。私自身もほしいのですが、Softbankがつながらないことも知っているだけに、しばらく様子見ですね。

2008/07/10

今日のボイストレーニング


 声楽家でナポリターナ歌手の天地りつ子先生の元で、発声の訓練を受けています。発声は呼吸の仕方、体の使い方の調整ですね。私は歌い手を目指しているのではなく、声の出し方自体の改善を目指しています。今月から先生のイタリア料理店が木曜日も営業となるので、今日は先生の音楽室で行われました。みぞおちあたりから声を出すのが、今の目標です。大地から息を送るという当初の目標よりも、手前になりました。実はなかなか難しいのです。このトレーニングの後は、からだもすっきりです。それだけ効果的な身体使いなのでしょう。
 天地先生のサイト
 イタリア料理 ザオー

みょうなカリスマ

 カリスマ的なリーダーたち。そのなかには、欲望のかたまりで醜いなあ、品がないなあ、と思われるような人達もいます。ところが人を惹きつけるんですね、こういう人たち。一緒にいるとなんとなく興奮するんですねえ。すごい影響力なのです。私はそういうたぐいの人についてあまり言及したくないのです。それは彼らの影響力に対する嫉妬から(^^ゞ
 これをカレンシーの交換で考えてみましょう。消費や権力欲は誰にでもあるでしょう。でも社会生活を送っていく中では、こういう欲求を表に出せません。個人的な欲望は「私利私欲」などと言われて、人間関係の中ではあまり歓迎されていないですね。そこに欲望の表出にオープンな人が来ると、なんとなく自分も欲望に正直になれる。この気持ちよさ!好きなことを言えたり、思い切り飲んだり、買い物したり!本当の自分に戻れるような気がする。自分に正直なのはなんと心地よいのか!これは大きなカレンシーです。これが”怪しい”カリスマが、外から見ると怪しいなあ、と思いながらも惹きつけられる理由でしょう。
 これに抗するには、自分自身で自分自身の欲望に正直でいることしかないのではないかな。そうして私欲をコントロールしていくしかないのではないでしょうか。
 一方私の見るところ、なぜか上述のようなリーダーは、あまり長続きしませんね。どこか信頼されないのです。興味深いです。

2008/07/08

日刊工業新聞にアラン・コーエン登場


 7日の日刊工業新聞に、アラン・コーエンが登場しました(著者登場)。7月7日は、インフルエンス・テクノロジーの設立記念日でもあり、いいプレゼントでした。中野さんありがとうございます!
(写真は、来日時の集合写真。右からアラン・コーエン先生、高嶋薫、大坪克行さん(税務経理協会)、そして私)

セミナーの顔(大阪編)


 ウィルソンラーニングのLFG(成長のリーダーシップ)参加者の方。LFGもアラン・コーエン、デビッド・ブラッドフォードのコンテンツ(Power Up)です。
 今回のセミナーも、みなさんのおかげで楽しみました! みなさんにはチームへの影響力を高めて、いい仕事してほしいですね。
 Iさんのこのコメント、2度観たら、私がはずかしくなりました。宣伝みたいで。まあ、いいか。

2008/07/07

大阪の朝

 大阪城公園の朝です。これから一日、どのようなカレンシーの交換が行われるのでしょうか?


こちらはつづき。ラジオ体操でスタートです。

ビジョンを語る

 リーダーが示す明快なビジョンは、メンバーにとって価値あるカレンシーになります。
 ある組織のチームリーダーの方と、「うーん、やはりビジョンが不足していますね」というお話しになりました。メンバーのモチベーションが下がってしまうのは、ビジョン不足に原因があるだろうと。まずはこの点に気づかれたのはよかった。これからビジョンでモチベーションを高められる、そのスタートラインにたてました。
 ところが、カレンシーの交換で考えると、それが簡単ではありません。モチベーションが下がっている。これはリーダーから見ると、ネガティブなカレンシーです。メンバーがこのようなネガティブカレンシーを示すということは、実はリーダーがその以前からネガティブカレンシーをメンバーに渡してきた可能性があるのです。その結果、レシプロシティが働いて、メンバーがモチベーションを下げているのかもしれない。お話しをうかがいながら、このケース、きっとそれに違いない、と直観しました。
 リーダーがメンバーに渡してきたネガティブなカレンシーとは、何だったのか。私はおそらく長らくビジョンを示さなかったことだと思います。リーダーにビジョンを示してほしい。その期待を、長い間リーダーが裏切ってきたら、これは期待を裏切るという意味でネガティブなカレンシーとなってしまいます。それで、相手は「こちらも期待には応えないよ」という態度をとってくるというわけです。
 知らず知らずのうちに、期待を裏切っている相手はいませんか。思い当たれば、お返しする時期ですよ。

2008/07/06

不本意でも返さなければならない?

 不本意でも返さなければならない?そういうことがあるんですね。まず最初の問題は、ときには受け取らないわけにはいかないことです。受け取らないことが相手にとってネガティブなカレンシーになるからです。
 「今日は私が払いますから」「いいですよ、割り勘でいきましょう」といったやりとりが、「いや自分の分は払わせてください」「あんたも頑固だなあ。オレにのおごりじゃいやだってことかよ」のように発展すること、ありそうではないですか?「好意を受け取らない」のは、大きなマイナスのカレンシーになりえます。人の好意を大事にしないんだな、などと思われると以後の関係に微妙な陰を落とすから。相手との関係を考えると断れなくなってしまうのは、こういう背景があります。そして、しぶしぶであってもひとたび受け取ると、今度は返さなければならなくなりますね。
 この流れを断ち切るようなカレンシーを渡すよう心がければいいのですが。いかがなものでしょうか?

2008/07/05

今週の橋爪功

 NHKのテレビドラマ「監査法人」は、毎週観ております。監査法人の方によると「あんなことは起こらない」そうですが、まあどちらかというと人間模様を楽しむドラマかな。
 法人理事長(橋爪功)は、東京地検に任意同行を求められ事情聴取されます。ここで検察官の質問に答えて、「監査は人間関係で成り立っている。この人間関係が日本経済を支えてきた」といった主旨の発言をします。この大ベテランも若いときには正義を振りかざして仕事をしていた。しかし、いつからか仕事に対する見方を変えていくのです。「人間関係で動く」という感覚は、もちろん多くのみなさんが納得できるところでしょう。とくに大きな仕事になればなるほど、人間関係を欠いて動かせることなどなくなっていきます。言い換えると、カレンシーの交換が頻繁に行われなければ、大きな案件は動かないのです。ところが、この理事長自身が陥ったように、何かを受け取ると「不本意にも返さなければならないもの」も増えてしまう。変革が滞る原因のひとつでしょう。
 ドラマでは、役所や外資をバックに変革を図る新しいリーダーが出てきます。でも彼も正論だけでは組織を動かせないはず。さて来週はどうなるか・・・

2008/07/04

仕事以外でも役立ちます

 「影響力の法則」セミナーにご参加いただいた、とある会社の技術部門のリーダーの方に、そのごいかがですか?とお話しをうかがいました。
 仕事では役立っている。うまくいかなかった人とは、協力できるところを見つけて、最後は15分ぐらいで関係が好転した。敵対する相手だと考えなければいいんだ、と思えたのがよかった。
 これを家で妻にも適用した。これまで考え方の相違があるのが、なんとなく許せなかった。しかし「影響力の法則」セミナーで学んだ「人はそれぞれ異なる世界をもっている」は妻にもあてはまるはずと考え、妻がなにに価値を置いているか、理解するよう努力した。あたりまえだが、妻には自分とは異なるものの見方があることに気づいた。その後、妻との関係もよりよくなっている。
 といったお話しでした。相手が自分と同じように思える。これはひとつの落とし穴のようです。このお話し、大変勉強になりました。ありがとうございます!

2008/07/03

無心であること

 PMオフィスの好川哲人さんが、ご自身のブログで「間」について書かれています(「プロジェクトマネジメントにおける型と守破離」)。たとえば、水墨画における空白、あるいは能における静止がこの間にあたります。ここで重要なのは、この間が心がお休みしている状態ではないということです。むしろ精神は集中し緊張の極み。それを間に表現するためには、他人にも自分自身にも緊張する心を隠していかなければならない。これが「無心」である。私はこのように理解しました。好川さんは、この無心であることが、プロジェクトでステークホルダーに相対するときに重要であると述べています。
 これを、影響力の法則でどう理解できるか。私は法則2「目標を明確にする」との関連に注目しました。
 プロジェクトに限らず仕事には、それぞれの具体的な目標がありますね。その目標が設定される理由、すなわち目的もある。「これは何のためにやっているんだ?」という問いに対する答えがあります。たとえば「新薬をX日までに上市する」という目標があり、その目的は「市場における競争優位」だったり「ひとりでも多くの患者さんの治療に、一日でも早く役立てる」であったりします。これをまとめて「プロジェクト本来の目標」としましょう。この本来の目標が相手にも伝わると、相手の心が動かされる。「よし、それならきみに協力してやる」ということになる。少なくとも、なりやすい。
 ところが、なかなかそう美しくはいきませんねえ。こちら側にいろいろな欲がありますから、それが見え隠れすること、しばしばです。たとえば、ここでいいところ見せてやろう、とか、自分の方が相手よりも物知りであるところを見せたい、とか。自分の強さ、正しさ、頭の良さを認めてもらいたくなることもあります。それは人の自然な欲望なのだと思います。これを「個人的な目標」と呼ぶとしましょう。問題は、こちら側の個人的な目標を見てとった相手が「きれい事を言っているが、本当は自分の出世欲で仕事しているんじゃないか?」と尻込みすること。こう感じられてしまったら、相手が協力するのをためらっても仕方ないでしょう?
 ここで「無心」が重要なのだと思います。本来の目標に向かって、相手と真剣に向き合う。そこでは、自分の「個人的な目標」を脇に置いておかなければなりません。脇に置くというのは能動的な心の働きで、気づかぬとは違います。まず自分の欲望や欲求を知らなければ、それを脇に置くことはできません。よって自分をだますのとも違うと思います。ここがなんとも微妙なところ。これには鍛錬が必要でしょう。「守破離」と結びつけられている、好川さんの論点は慧眼と思えます。

2008/07/02

楽器と一体

 今日、面談した学生が、面白いことを言っていましたよ。彼女は音楽学部の2年生で、ピアノが専門です。ピアノが人生のような学生です。
 私も、拙いながらもラテンパーカッションを学んでいると話すと、とても喜んでくれました。楽器が好きな人は心が広い。そこで私もいいところ見せようと思って「パーカッションをたたいていると、手のひらと楽器が一体になる感じがすることがあるんだ。ピアノでもあるのですか?」と尋ねました。鍵盤と指がひとつになるだろうか、との疑問を投げたのです。
 すると彼女、嬉しそうにこう答えてくれました。「ありますよ。私はグランドピアノが好きなんです。演奏しているとピアノの弦が見える。その弦の動きが自分の体の中に入ってくるのです。この感覚が気持ちよいのです!」この学生の話しに、私はすっかり魅了されてしまいました。そうかこの若さでそういう体験をしているんだなあ。私の楽器遊びとはレベルが違います。年齢にかかわらず相手に対する敬意を忘れてはいけない。
 この一体感のはなし、仕事の中でも体験できると思います。たとえば、本田技研の元社長久米是志氏が書かれた『「無分別」のすすめ』(岩波アクティブ文庫)などにも、主体と対象物の一体化の話しが見られます。久米氏のみならず、多くのかたがそのような体験を打ち明けています。
 これが対象物だけではなく、人との間にも似たような一体化を感じることがありますよね。いかがでしょうか?共通の目的に向かって夢中で仕事をしながら、強い協力関係ができてしまう。すると同じ目的の中で他者とひとつになっているような感じ。相手の世界が手にとるようにわかる。よしそれにのってやろう、とフットワークも軽い。すぐれたサッカーチームやオーケストラのようなイメージですね。
 このようなとき、自分も相手も自然に強力な影響力を発揮している。影響力の法則は、そのような状態をモデルにしたともいえます。
 私思うのですが、若い人から影響を受けられるというのは、なんというか幸せですね。若者の可能性を信じたいと思います。

2008/07/01

プログラムファシリテーター

 先日、ある会社で実施したプログラムは、大反響でまた実施できることになりました。ありがたいことです。
 セミナーなどのプログラムで、参加者の意欲を引き出すために、ここでもまたカレンシーの交換をしています。学ぼうという意欲さえ持てば、人は概ね成長する、というのが私のひとつの信念になっています。ですから、学びたいという意欲を高めるところに、プログラムの前半は腐心します。具体的には、プログラムの概念がわかりやすいようにいろいろな喩えを使いますね。この喩えがカレンシーになるようです。こちらが歩み寄るからでしょう。そのときに参加者の反応を見ていることがポイントです。うまく受け止めているようならOK。必要があると思えば、他の喩えも使う。カレンシーは受け取って初めて価値があるので、反応を見るのはとても大事です。こうして何のテーマかが分かれば、あとは生きた情報をもっている人たちを繋ぐ。今度は他の参加者の情報がカレンシーになる。プログラムでの最大の価値は、他の参加者とのであいかも知れませんよ。
 実は過去20年、私はこれをほとんど無意識にやってきました。おそらくご同業のみなさんの多くもそうでしょう。影響力の法則と出会ってからは、とくにこの交換を意識してファシリテーションしています。このような考え方は、みなさんの会議などにも使えます。会議の参加意欲を高めれば、よい討議になるというもの。ぜひお試しください。

日経ヒューマンキャピタル2008 出展します

 日経BP社主催の「日経ヒューマンキャピタル2008」に出展します。3日間で40,000人に近い来場があるイベント。できる限り多くの方に「影響力の法則」に触れていただければと考えております。7月23日〜25日に東京国際フォーラムで開催されます。ぜひみなさんお越しください。
 ただ、ひとつお詫びが。このイベントの中、7月25日17:00〜18:00にワークショップを開催します。タイトルは『あの上司さえ動かす、リーダーの秘密ー「影響力の法則」』です。こちらが昨日、みなさんに告知する前に満席になってしまいました。がらがらの会場で私がひとり寂しく話すのかも、と思っていただけに、正直に言えばほっとしましたが、席がなくなってしまうとは本当に申し訳ないです。
 ご興味のある方には、直接オフィスにうかがってお話しさせていただきます。お申し付けいただければ幸いです。
日経ヒューマンキャピタル2008
インフルエンス・テクノロジーLLC

よろしくお願いします!

2008/06/30

紙一枚

 今朝の日本経済新聞に、住友商事加藤進社長の若かりし頃のエピソードが書かれていました(2008年6月30日朝刊13版11面)。今は社長となられた加藤氏ですが、若いときは大きな失敗もあったとのこと。それを忘れずに、自分の仕事と人生の糧にされているのだな、と記事を読んで感じました。私たち忘れてしまって繰り返すことが少なくありません。それだけにその人が覚えていることには、その人の人生の価値を感じます。
 このようなお話しです。オーストラリアの会社に針金を売った。ところが品質問題でクレームとなった。加藤氏はその解決策を1枚の紙に書いて、製造会社の社長に渡した。このやり方が、社長を怒らせてしまった。ここで加藤氏が学んだことは、住友商事の自分にとっては、小さなクレーム処理だったろうが、従業員50人の小さな会社の社長さんから見れば死活問題だ。相手が必死になって再発防止策を考えていたのに、紙一枚で解決しようとしていた自分はいたらなかった、ということです。このエピソードには、仕事に対する真剣さ、相手の立場に立った努力、信頼関係の重要性、などが示唆されており、私はいい話だなあと感じました。
 さて、これをカレンシーの交換で考えてみる。真剣に仕事をしたにもかかわらず品質の問題を起こした社長は、必死だった。自分の何が悪いか分からない。病名の分からない症状と同じです。このままでは会社をつぶすかもしれない。だから必死。必死で努力している人に、紙一枚は大きなネガティブカレンシーとなったのでしょう。そんなに軽く考えないでくれと。これではポジティブなカレンシーになり得ない。こちらも必死で考えないと。
 これはもちろんお客に対してだけの問題ではありませんね。部下に対して、配偶者に対して、子供たちに対して、知らず知らずのうちに軽くあつかってしまいがち。それでは、彼らが真剣に応えなかったとしても仕方ないんじゃないかなあ。加藤氏はこの後社長にまでなるのだから、お客だけでなく同僚や部下にも真剣に応えていったのではないでしょうか。住商400年の重みはこんなところにも見られるといってもいいかな。
 自分も紙一枚、はらりと渡してすまそうとしていることがないだろうか・・・・

2008/06/29

親に対する教師の影響力

 昨日は、大学院の同窓会(クラス会)に参加してきました。私はカウンセリング専攻でしたので、同級生には教育関係者が少なくありません。教授を除く集まった9人のうち、学校関係者は6名。私のように非常勤で教えているのとはちがってみな専任で、高校、大学、教育委員会で活躍中。こういう機会でないと、学校の先生の話しは聞けません。学校の現場は本当に大変のようですね。生徒にも親にも振り回されている、といっていいのか。
 生徒を動かすのに、どのようなカレンシーが効くでしょうか?うーん、なんでしょう。将来ある若者が、大人に何を求めるかで考えたらいいいのではないかな。具体的には・・・ビジョン?正しさ?厳しさ?・・・みなさんはどう思われますか?
 一方親はどうでしょうか?まずは、現在のご両親の多くが見ている世界を理解する必要があるでしょう。ひとことで言えば、余裕がない。目の前の、それも人から与えられた課題に一生懸命向かっている。ひとつの課題を達成すると、また次が来る。というより、課題を達成する前に次が来てしまうので、できの悪いまま次に進まなければならない。息つく暇がないばかりでなく、雑になりがちな仕事から達成感などなかなか味わえません。子育ても、そのような与えられた課題のひとつに過ぎないのかなあ。やりとげた感がないと、自信が生まれないのではないでしょうね。自信がない、不安。だから落ち着かない。
 さて、本当に心から自分を理解し、共感し、励ましてくれる人がいたら、落ち着けるかもしれない。親が不安を低減できれば、親と教師の間にもっと協力関係を築けるかもしれない。親にこそカウンセリングが役立つのかもしれない。などと、思いました。とはいえ、そんなことしたら、ただでさえ提出書類が増えて手一杯の教員たちに、なお一層負荷がかかる。これが現実的なのか・・・
 現実的かどうかはともかく、まずは本当の問題をつかまなければいけないなあ、でも簡単じゃないなあ、と思いました。

2008/06/28

学生の発見

 今週の授業で学生が述べたこと。私は若者の発見として、ちょっと身震いするような感動を覚えました。
 彼女が言っていたのはこのようなことです。インターンシップで職場体験をしてきた。インターンにいく前には、働くとことを自分中心に考えていた。だから、どんな仕事につけるか、どんな会社に入るか、そんなことばかり考えていた。よい仲間に巡り会えるか、多くのことを教えてもらえるか。そう考えると、社会に出ること、就職することは恐くてならなかった。もし希望がかなわなかったらどうしようか・・・
 インターンを体験してひとつひとつの仕事を工夫していくと、色々な変化が起こることに気づいた。たとえば、会社説明会の手伝いをしたとき、最初は興味がなさそうな学生が、説明を聞くと顔の表情が俄然変わる。この変化に興奮した。とても人と接する仕事ができると思えなかったが、今では営業の仕事もできると思う。仕事に対する考えも変わった。仕事はひとりではできないものだ。いろいろな人と関わりながら仕事をしている。そうして変化を起こしているのだ。だから、どんな会社にはいるかも、仕事につけるかも、それほど意味はない。どのように関わっていくかが問われているのだ。それを楽しめればいい。そう考えると、社会に出ることが楽しみになった。
 こういう学生を採用してください!

2008/06/27

チームで仕事をする

 今日は、かつて同僚だったアメリカ人女性と私と妻で夕食をともにしてきました。とある大手企業の教育責任者である彼女の抱える問題は、日本法人のメンバーのコミュニケーション能力欠如にあるようです。国外のメンバーと部門横断的に仕事を進めるときに、日本のメンバーが効率的に参加できないことが多い。それはコミュニケーション能力の問題だ、というわけです。
 これを「影響力の法則」で考えるとどうなるでしょうか。遠く離れた国外に拠点を置くチームメンバーとの間でも、レシプロシティは働きます。無視することはできません。よってこちらからなんらかのカレンシーを渡さない限り、相手からは何も返ってこないと考えていい。もしこちらから何ものも渡さなければ、知らず知らずのうちにこちらは蚊帳の外になってしまうでしょう。電話会議など非言語のメッセージを伝えにくい情報伝達チャネルしかもたない場合、だまっていればそうなりがちです。
 ところが現実には、黙っていてもあうんの呼吸で相手が何とかしてくれる、と思っているところがあるのではないかな。もしそうだとしたら、実はどんなにすぐれたコミュニケーション技術の持ち主であっても、うまくいかない可能性があります。それどころか、仇になることもありそう。たとえば「相手を理解するために、もっと傾聴しなければ」などと考えたために、一層受け身になり、相手に渡せるカレンシーの幅を狭めることがあるのではないでしょうか。(注 傾聴そのものがカレンシーになることもありますから、傾聴のパワーを否定することはできませんよ)
 チームがいい成果をあげる過程では、カレンシーの交換が頻繁に行われているはず。それを忘れないようにしなければな、とあらためて思いました。

2008/06/26

ケースメソッド教授法

 今日、日本ケースセンター主催の、ケースメソッドセミナーに参加しました。
 ケースメソッドは、ケース(事例)を検討、集団で討議することを通じて、同様の場面に遭遇したときの判断能力を高めることをねらった訓練方法です。今回はハーバード大学ビジネススクール(HBS)、C. ローランド クリステンセン教育センターのウィリス・エモンズ教授によるリードで行われました。 
 討議によるアウトプットの質は、参加者同志がどれだけ影響を与えあえたかにかかっています。なぜなら、影響を与えあいながらひとりでは考えつかない新しい知見やアイデア、理解にいたるからです。オープンに影響をおよぼしあえる関係は、「学びの共同体」と呼ばれます。いかに早くこの関係を築けるかは、ケースリーダーの腕の見せ所でしょう。今日の参加者80名はモチベーションも高く、生産的なグループに近づいていると感じました。そうなると、お互いに理解が深くなるのですね。ここでも、各メンバーの観点が持ち込まれ、交換されているのです。おもしろかった。

2008/06/25

Exchange Server


 マイクロソフトのExchange Serverの広告を連日目にします。いわく「社員力を、経営力に。」これは、影響力の法則のことをいっているのか!?そんなことはありえませんが、本質は共通しています。
 サーバーを通じて、人々が情報を交換(exchange)する。これを繰り返すと組織力になる。この交換が繰り返されるかどうかは、メンバーのレシプロシティと影響力の法則にかかっています。レシプロシティが働かないと、交換は尻すぼみに。逆に影響力の法則に則れば、有益な情報と専門能力、加えて人間的なやりとりが交換されるようになるでしょう。
 Exchange Serverを導入している企業には、ぜひ「影響力の法則」も導入していただきたい(^^)

2008/06/24

レシプロシティに逆らうと・・・

 今日、お中元が届きました。20年ほど前初めて浜松に赴任したとき、近所でお世話になった方からです。ありがたいですね。三方原の馬鈴薯です。美味しいんですよ。さて、こうして頂き物をすると、さっそくお返しを用意します。今年は何にしようかな。このようにお返しを用意しようとするのはごく自然なことです。レシプロシティが働いているからです。
 レシプロシティとは、何かをしたらお返しをもらえる、あるいは何かをもらったらお返ししなければならない、という社会通念です。この社会通念は、時代や文化を問わず、人間社会に普遍的なものと考えられています。スウェーデンや中国の原住民にも、ニューヨークのビジネス人たちにもみられるそうです。お中元に限らず、日本の社会のいたるところでレシプロシティは働いています。もちろん、日本のビジネスの世界でも。「営業担当者からお客さんの情報を知らされ、製品開発に役立てられた。お返しに新製品の情報をいち早く伝えたところ、営業担当は早期に見込み客を獲得できた」などということは、日常的に起こっていることです。ありがたいな、と感じることをされると、相手にとって役立つことをしたくなる。これはレシプロシティがあるから。このようにそれぞれがもっているものを交換しながら、人々は社会を築いてきたとも言えるわけです。
 さて、このレシプロシティを無視したり逆らったとしたらどうなるか。「あいつは何かしてやっても、何も返さない」と感じると私たちどうするでしょう。多くのかたが、そのような人を相手にしなくなってしまうのではないでしょうか?だとしたら、それは相手の行為が、レシプロシティに反するからです。レシプロシティに逆らえば、集団の中で孤立していく。すると会社の中でも、なかなかいい仕事ができなくなりますし、会社を辞めなければならなくなる場合もあります。みなさんの周りで、そのようにして孤立している人に会ったことありませんか?その方、苦しそうではありませんか?
 レシプロシティに気づかないと、このような落とし穴に落ちやすいですね。逆にレシプロシティを意識すると、人間関係がより豊かにできるのではないかな。だからこそ、親や教師、上司は、それぞれの社会の中でのレシプロシティを教えているのですね。

2008/06/23

一目置かれるプロマネ

 この8月1日「ステークホルダーマネジメント 「影響力の法則」セミナー」が開催される予定です。プロジェクトマネジャーとしてご活躍のみなさんを対象に、プロジェクトの利害関係者(ステークホルダー)を協力者にしよう、というセミナーです。
 共催会社である株式会社プロジェクトマネジメントオフィスの好川哲人さんとの間に、プロジェクトマネジャーには日が当たらない、いいところはプロジェクトのオーナー(スポンサー)が持って行ってしまう。プロジェクトマネジャーのみなさんが周囲からもっと認められるようになったらいい、といったやりとりがありました。おそらく、プロジェクトマネジャーが認められるようなプロジェクトは、うまくいっているのではないでしょうか?メンバーの専門能力がうまく引き出され、他の関係者の必要をみたしている。逆にプロジェクトマネジャーが認められていないようなプロジェクトが、うまくいっているようには思えません。
 これをカレンシーの交換で考えるとどうでしょうか?それぞれのステークホルダーによい結果がもたらされれば、プロジェクトマネジャーは、組織内で高く評価される、というやりとりになります。そう考えると、少なくともステークホルダーにとって真に「よい結果」とは何かが定義されていることが、プロジェクトマネジャーが認められるうえで必要条件になっていることが分かります。
 ところが、これが容易ではない。先日もあるプロジェクトのリーダーが、「お客が悪い。お客たるものもっとかくがくしかじかすべきだ」と言っていました。私は彼が言うこと、よく分かるし正しいと思います。しかし、彼のお客にとって「よい結果」が何であるのか、彼が理解していないことにも、いささか胸を痛めました。みなさん、どう思われますか?

2008/06/22

チャレンジする部下

 NHK土曜ドラマ「監査法人」。影響力の法則を学ぶための、よい題材だと思います。
 今週目を惹いたのは、若手会計士の主人公(塚本高史)と理事長(法人のトップ 橋爪功)が、バーのカウンターで話しをしているシーン。主人公の口調はとても大組織のトップに対する若手の話し方とは思えません。若い主人公は正論をどんどん述べます。当然、理事長はいい顔をしない。
 ところが、この若者が「監査法人」では重用されるのです。生意気な口をきく若者。クライエントに何を言ってしまうか分からない。ですから、普通なら責任ある仕事を与えられるはずがありません。ところが、ドラマの中では大きな仕事をどんどん担当する。これを見て奇異に感じる方、少なくないと思うのです。ひとつ考えられるのは、この上司の弱みを若者が握っているということ。握った弱みを口外しない、というのは大きなカレンシーです。ドラマ的にもあり得ると思います。
 私には、それ以上にかつて自分が若かった頃を彷彿とさせる、若者の熱血漢ぶりは、実は大きなカレンシーになっているのではないか、と思います。ポジションがあがれば、自分に思うことをぶつけるものはいなくなる。トップならなおさらです。誰も本音で交流してこないとしたら、孤独でしょうね。ところが、このポジションの違いを怖れずに挑戦してくる部下は、まぶしく頼もしくうつるだけでなく、心の友のようなところがある。多くのリーダーにとって、そんな部下はかわいいのです。
 みなさんの上司は、どうでしょうか?

2008/06/21

本気かどうか


 これからリーダーとして期待される数十人の人たちに、この2週間お会いしてきました。今週後半は体験学習(Project Adventure)を使って、リーダーシップ開発に臨みます。ところが、アクティビティのパフォーマンスは、いまひとつでした。
 最後に実施したのは、スパイダーウェブというアクティビティ。くもの巣のようにはられたロープをくぐって、チーム全員が反対側に抜け出すというものです。メンバー全員が協力に結束しない限り目標達成できません、ここまではかなりの結束を見せていたチームが、ここでくずれてしまいました。いろいろなアイデアが出てきても、なかなか実行に移せない。つまり、メンバー相互の影響力が低い状態です。
 今回感じたのは、結局のところリーダーがチームとしての成果を、本気で求めない限り、メンバーは動かないということです。昨日までのメンバーには、何かためらいのようなものを感じました。遠慮と言ってもいいでしょう。この遠慮やためらいが、他者に対する影響力を低下させてしまう。結果的に、思ったほど動かない。リーダーは、本気でなければならない、これで死ぬ覚悟も必要にちがいない。あらためて思わされました。
 では、この覚悟はどこから出てくるのでしょうか?どう思われますか?

2008/06/18

個人的な願望

 前日の投稿「無資格と有資格」には、コメントをいただきありがとうございます。しばしば「無資格」者のかたが、「有資格」者のかたに一人前として認めてもらえないと感じる、とうかがいます。一方「有資格」者のかたからみると、「無資格」者のかたのモチベーションがあがらないとのお嘆きも、聞こえてきます。
 ここでのひとつの問題は、相手から見える世界(主観的な世界ですね)が理解できないことです。つまり資格のある方は、資格がなく補助的な仕事をしている人の思いを知りません。逆も同様です。こうして互いに理解できないと、相手の話を聞く気にもなりません。影響力が下がってしまいます。もちろん、すぐれたリーダーは、相手を理解し、相手の心をつかみます。ただ、いつもこうはうまくいかないようですね。
 いただいたコメントには、コメントをお返ししましたが、触発され、こちらにも記します。影響力の発揮を妨げる大きな原因に、個人的な願望に気づかず、振り回されることがあります。よく見られるのは、仕事でいい成果をあげよう、と言っている上司が、実は自分が社内で認められることを第一義に置いている、などです。よい仕事よりも、自分が認められることが上まわっている、というわけです。このような願望は誰にでもありますし、それを意識している限り問題だとは思えません。問題なのは、本人が気づいていないとき。これは、大いに相手を混乱させます。
 ひょっとしたら、このようなことがおこっていないかどうか、資格のある先生としては、まず考えてみる価値があるでしょう。自分は、本当に仕事の結果のためだけにやっているのかどうか。

2008/06/17

有資格と無資格


 私のまわりには、ビジネススクールやロースクールに通っている友人が数名います。大学院に通うということは、他の多くのことを犠牲にしているのですから、そのリスクテークの姿勢に感心します。そうまでして得られるものには、学位、知識、ネットワークなどがあり、失うものと天秤にかけて傾いた方に動いているといえますね。
 さて、そのようにして、弁護士やMBAになって職場をみてみると、他のメンバーの多くは輝くような資格を持っているわけではありません。そしてそうした多くの仲間たちは、高度なプロフェッショナルのアシスタントをしているかもしれません。そのような彼らを想像してみると、なかには「先生」より一段低く自分を評価している方もいるでしょう。「どうせ私は、先生のアシスタントだ」と思っているのです。彼らのモチベーションを高めるのは、容易ではありません。実はちょうどそのようなお話しを聞いたところだったのです。
 さて、みなさんどう考えられるでしょうか?
 私が観察してきたところ、これは「先生」の態度次第というところがあるような気がします。先生によっては、アシスタントのメンバーがいきいきと働いており、先生によってはやる気をなくしている。この違いは、影響力の法則で説明できるのではないかな。ちょっと考えてみましょう。うーん。
(写真は、あやしい先生たちです)

2008/06/16

影響力とキャリア

 キャリア開発は、どなたでも多かれ少なかれ関心のあるところでしょう。
 今日、とある大手メーカーさんの人材開発部門に、キャリア開発研修を提案させていただきました。私の会社(インフルエンス・テクノロジーLLC.)の提案は、参加者がキャリアを仕事の経験、能力の蓄積のみならず、人間関係の発展で見ていこうというものです。
 これは言い換えると、影響力の法則で、キャリア開発を考えてみようというようなものです。
 若いときは、上司や先輩の指示や指導のもと経験を積んでいくのが、よく見られる能力開発の過程です。この方法は経験が少ないものが新しいことを学ぶ、効率的な一方法とみることができます。しかし、若者からすれば、自分よりも優秀でもやる気があるわけでもない年長者のご意見など、聞く気になれなかったりする。能力開発も容易ではありません。
 そこで、カレンシーの交換でこのような能力開発課程を検討しましょう。上司の指示のもと仕事をし結果を出すのは、実は上司にとって大きなカレンシーとなっています。「いうことを聞く×自分が求める結果が出る」だからです。このくり返しにレシプロシティが働き、上司に「いつかこいつのために機会を与えよう」などと思わせているのだと考えられます。そう思わせた部下が、新しい経験や昇進の機会などを得られるというわけです。ですから、指示や指導にしたがって努力することには、少なからず価値があるのです。今日何名かの方に、キャリアの中での大きなできごとをうかがったところ、上司や先輩からしごかれたり、厳しくしつけられたこと、があげられました。キャリアの発達に、カレンシーの交換の視点は欠かせないと思います。
 もっとも、すべての上司に同じようにレシプロシティが働かないところが、悩ましいところ。上司の中には「教えてやっている」と思う人もいますから。その場合、部下はなるべく早くカレンシーを返す。たとえば、教わったら即座に心からお礼を述べる、などが必要ですね。

2008/06/15

やっかいな上司

 上司が暴走する。長いキャリアの中では、一度ならず経験されることでしょう。先日も、急いで止めなければ、と深刻な相談を受けました。
 影響力の法則で考えますと、まずは上司に聴く耳をもたせることが欠かせません。そのためにも、上司がこちらが上司の味方である、と感じなければなりません。望ましいのは、日頃からそのような信頼関係を築いていること。しかし、このような場面、しばしばそのような信頼関係がないために引き起こされます。コミュニケーションをとっていれば、最初から暴走しないでしょうから。ここは、ことばと態度で、誠意をつくし、これはあなたのためにならない、あなたのためには、こうしたほうがいい、と伝えること。
 ベストをつくし、後悔しないことを目標にされてはどうでしょうか。

2008/06/14

監査法人


 NHKの土曜ドラマ「監査法人」が始まりました。監査法人、会計士がどのような責任感で仕事をしているのか、興味津々です。
 第1回目の今日は、主人公(塚本高史主演)が、北陸地方の建設会社の監査に臨むお話し。主人公はさっそく監査に入り、関係書類の調査に。しかし、そのさなか上司はクライエントとゴルフに出かけています。
 上司とクライエントの間では、レシプロシティが働いています。ゴルフや料亭での接待は、「見逃してください、たのみますよ」というメッセージです。上司はこれをカレンシーと感じており、上司にとってお返しするのは当然です。ところが、部下は”厳格”に対処しようとする。部下の動きに気づいた上司は、気が気ではありません。激しい衝突の後、結局「会計士の役割」をとった部下たちは、クライエントに非承認とします。これはこの会社の倒産を意味します。また監査過程で死者も出ました。揺れる思いの中、主人公が非承認を告げるシーンは、緊迫感のあるものでした。(塚本高史くんの演技も見るものがあったと思いますが、いかが?)
 なぜ、主人公は上司に反発したのでしょうか。それは「正しさ」というカレンシーが働いたと考えられます。職業の正義。これは有力なカレンシーなのです。誰もが正しいことをしたい。主人公の場合は、会計士としてのアイデンティティとプライドが、このカレンシーの価値を高めたと言えます。大目に見ればラクなのに、あえて難しい方を選んだのは、このような背景があるのです。
 私たちの周囲に「正しさ」を喚起させる人物がいたら。その人の影響力は、決して小さくはないはずです。
(写真は、夕暮れ時の晴海周辺。今日はここで仕事していました。ドラマにも出ていましたね)

2008/06/13

ほめる、はカレンシーになる

 ある大手企業の幹部に若くしてなられた方のお話しをうかがいました。いくつもの興味深いお話しがあったのですが、そのなかで「上司を褒める」というのが印象的でした。上司を褒める、これを繰り返すのだと。すろと、上司からいい仕事がアサインされる。今度はその期待に応える。そうして信頼を勝ち取って、またいい仕事を与えられる。
 これは非常にわかりやすいカレンシーの交換ですね。こうして相手に与え続けて、結果的に大きなリターン(幹部への昇進)が得られたと考えていいでしょう。
 とはいえ、褒めるのは、心から褒めないと効果ありませんよ。

2008/06/12

信任

 昨日参議院で問責された首相が、今日は衆議院で信任されました。信任決議は、平成4年宮沢内閣以来だそうです。
 この信任決議。どう考えても首相から「私を信任してください」と頼んだりはしません。与党が気を利かせて(?)やってくれたものです。首相にはどのように感じられたでしょうか?私がこのようにして仲間に信任されたのなら、それはもうありがたい、救われたと思います。つまり大きなカレンシーです。首相がどう感じたかわかりませんが、「信任しなくともよい」などと断ることはできないはずです。内閣の安定は、与党にとっても重要のはず。断れないうちに、大きなカレンシーをつかまされてしまうのです。
 こうなると、首相はもう与党のいうことを断れませんね。お返ししなければならない。こうしてしがらみができていき、「改革」は遅れるのでしょう。みんなにいい顔していては、変化を進めるのは難しくなりますから。こうして変革への影響力は低下していくのでしょう。小泉さんが懐かしいですね。

2008/06/11

問責

 首相に対する問責決議なるものがなされ、参院で可決されました。戦後初めてとのこと。法的拘束力はないので、首相が衆議院を解散する必要はないとはいえ、首相の政権運営は難しくなるとの見方も少なくありません。
 そもそも問責とは「責任を問う」ということ。これをカレンシーの交換で見ると、野党は首相に大きなマイナスのカレンシーを手渡したことになります。これを国民が「高齢者医療保険制度やら道路財源の問題やらに対する妥当なお返し」と受け止めれば、この「問責」は支持されるでしょう。首相側がなんらかの反応を示さないと、早く借りを返せ、ということになるのではないかな。対して「野党はやり過ぎ」あるいは「首相の問責は的はずれ」と考えれば、国民は野党に次の行動を求めてくるでしょう。より画期的な医療制度改革案、税制改革案など。それに応えるのが遅れると、今度は野党がマイナスのカレンシーを突きつけられる。どちらにしても、厳しい勝負のようです。
 韓国では、アメリカ産牛肉の輸入再開をきっかけに、数十万人の国民がデモ行進しています。日本人はおとなしいですね。この「問責」にどう反応するでしょうか?

2008/06/10

目的はカレンシーになる


 夕方から来週実施されるプログラムの打ち合わせ。具体的にどのようなプログラムを実施するか、詰めていきます。研修の目的を明確にした方が、あきらかに話しは早い。あたりまえではあります。これもカレンシーのやりとりで考えれば、合点がいく。目的や目標が明確になると、方向性が見える。安心する。これがカレンシーになるといえます。ことなる意見を持っている人には、思い切って歩み寄る。それによって、核心的な問題を妥協しないですむこともありますね。
 その後、最初の上司である米澤さんと、最初の同僚である久保田君と、食事をしながら情報交換です。支払いは元上司。これで手渡された変額年金の見積もりに重みが出ます。仮に今回申し込まなかったとしても、近いうちにお願いします、といいたくなるのには参ったものです(^_^;

2008/06/09

記者、編集者の育成


 今日、とある有名専門誌の編集長の方とお目にかかりました。影響力の法則を紹介し、大いに興味を持っていただきました。これはわれわれが編集記者たちに教えていることだ、と述べていたのが印象的です。「Give & Takeでいかなければいけない」と指導されるのだそうです。
 なるほど、よい情報を得るため、よい原稿を得るために、編集者、記者の方がなすべきことは・・・・相手が動きたくなるカレンシーを渡すことなのですね。日頃からそういう努力をしている記者、編集者の方が、よい情報を得られるのは理に適っています。人間理解が必要な仕事ですね。(学生に人気の職種です。そう教えないと・・・)
 組織内外で頻繁にカレンシーが交換されていくようになるには、しっかりした教育が重要だ。つくづく思いました。
(写真は自宅の近所で見つけた紫陽花の花。きれいだなあ、と撮りました)

2008/06/08

ロレンツォのオイル

 先週、ロレンツォ・オドーネ氏の訃報を新聞で見つけました。映画「ロレンツォのオイル」のロレンツォその人です。30歳。長くがんばったんだなあ、お疲れさまでした、と心から申し上げたいと思います。
 映画を振り返ってみると、ADLを発症したロレンツォの両親は、治療法を必死で探します。その没入度は尋常ではなく、親の愛の強さ深さに感動しないわけにはいかないでしょう。苦労の末に、オレイン酸とエルカ酸の配合油が特効薬であることを発見します。
 この過程で、何人もの協力者を得ていきます。これが映画で見る限り情熱が最大のカレンシーとなるのですが。今回注目したのは、ロレンツォの父親オドーネ氏が、製薬メーカーにエルカ酸を作ってくれと頼みに行くシーンです。先方の科学者はそれはできないと断ります。エルカ酸には、副作用もあるのです。しかし同僚の女性に促され(何かカレンシーを返さなければならない相手と思われる)、オドーネ氏が用意した資料を見て他の科学者たちに知らせることを約束してくれます。「これはあなたが書いたのですか?」と絶句するところ。科学的な裏付けや、(再び)情熱、実際の行動は、有力なカレンシーとなり得ます。それには、相手に分かるものでなければ。この場合、科学者が驚くような内容だったことも重要と思います。
 オドーネ親子のご苦労に、あらためて敬意を表したいと思います。

2008/06/07

僧侶と信徒

 お坊さんの法話をうかがう機会がありました。といっても私はどちらかというと部外者で、他の多くは信徒さんのようです。お話しは面白かったしためになりましたが、私が感心したのは、聴衆が実に熱心にお話しに聞き入っていることでした。お坊さんのお話しに深くうなずき、お坊さんのお話が活気づいてくると笑いもしばしば。これだけ明確なフィードバックがあれば、話すのは楽しいだろうな、とうらやましくなりました。学生も、会社員も、これほどまでに反応しません・・・・
 これをカレンシーの交換で考えてみましょう。信徒さんや檀家さんは、お坊さんになんらかのありがたみを感じている。ある人は相談に乗ってもらった、ある人は親の最期にお世話になった、またある人はお坊さんのお話に救われたなど、なにかありがたい思いをしたに違いありません。それで今度は、お世話になっているお寺やお坊さんのために奉仕する。今日、みなさんがお話を熱心に聞いていたのも、お坊さんにお返ししているといえます。熱心に聴いている聴衆を見れば、ますますいいお話しをしたくなる。こうしてカレンシーが交換され、双方の関係が深まっていくのでしょうね。
 こう考えると、授業で学生が話しを聞かない理由も説明できます。ありがたみが足りない、ということかな(^_^;)

 

2008/06/06

ナポリ料理 ザオー

 仕事がら声の出し方には注意しなければと思い、昨年からナポリターナ歌手の天地りつ子先生のボイストレーニングを受けています。先生のお宅は千葉市花見川区でイタリア料理(ナポリ料理)店「ザオー」を経営していらっしゃいます。ご主人がつくるここのピザは、わざわざ食べに行く価値があるおいしさ。私は大好きです。このお店、今度イタリアで修行してきた息子さんも合流したということですから、きっとメニューの幅も拡がるのでしょう。「これからは長期休業はいたしません」という張り紙が可笑しかったです。息子の効果!

2008/06/05

東大でエグゼクティブプログラム

 東京大学が、エグゼクティブ・マネジメント・プログラムを開講するとの報道がありました。東大といえば、やはり日本のトップ大学。その東大がリーダーシップ育成に乗り出したのは、他のビジネススクールのみならず、管理者教育会社にとっては大きな脅威でしょう。
 企業の教育責任者だった経験から言えば、40代のリーダー教育の重要な要素に、社外のネットワークづくりがあります。欧米のビジネススクールに派遣する場合も、ネットワークづくりは主要な目的のひとつでした。ですからトップ校にしか送りません。ネットワークづくりという観点からは、トップ校以外意味が薄れるからです。東大を舞台にしたネットワークづくりに、企業や官公庁が興味を示さないわけがないでしょう。
 さて、この強みをカレンシーの交換で考えると・・・・東大は歴史も長く、社会に多大なカレンシーを提供してきたと言えます。ひらたく言えば、東大が育てたエリートのような方たちが、社会のいたるところで活躍している。彼らは、東大出身であるために多大な恩恵を享受きた。その方たちが、母校にお返しをするわけです。そのネットワークに入りたい外部者も少なくないはず。ですから600万円の講座など、あっというまに席が埋まってしまうのではないかな。

2008/06/04

稲盛和夫氏(京セラ元会長)

 キャリアの授業では、学生にビデオを見せることがあります。今日は稲盛和夫氏がインタビューに答えたもの。氏の京セラ設立当時のエピソードは、著書にも書かれていますから、ご存じの方も少なくないでしょう。
 今日は、そのビデオをみながら、あらためて、なぜ同志6名は稲盛氏とともに会社をつくろうと思ったのだろう、と考えました。ここにも影響力が働いているはずです。
 稲盛氏が語った仕事への熱き思いが、同志たちのビジョンになっていたことは間違いないでしょう。さらに氏は態度でビジョンを示しました。お客のためには、ストライキ中といえども仕事を休まなかった。本物のビジョンが大きなカレンシーであることは、影響力の法則が示すとおりです。正しい道を進んでいる、と感じられることも、強力なカレンシーになりますね。
 かくして同志たちは、自分たちが大きな犠牲を払ってでも、稲盛氏の技術に賭けることを約束します。この約束が、稲盛氏にとって大きなカレンシーになったことも、また間違いありません。

先生の影響力


 多かれ少なかれ、誰でも影響力を持ちたいもの。少なからぬ人たちが、昇進すると影響力が高まると思っていらっしゃいます。それから資格や学位があることも、影響力につながると思われているようですね。おそらくその通りなのだと思います。
 ところが興味深いことに、影響力の少ない上司が少なくない。医師は患者に生活習慣を守らせることに手を焼いています。仕事がない弁護士や会計士がいるって、ほんとでしょうか。どうやら地位や資格は影響力を発揮するに十分条件ではないようです。
 今日はある「先生」と呼ばれる専門職について話し合われました。その先生の中で成功している方は、やはりクライエントが言うことをよく聞く。「まあ、先生の言うことなら仕方ないか」という感じ。それに対して多くの先生が、クライエントをコントロールできずに苦労しているようです。法律を背景に「禁止」といわなければならないのですが、私の聞いた印象ではどうもそれが容易ではない。こっそりウラで約束破りが起こっているような気がします。
 クライエントを従わせている先生の秘密は何か。どうやらここでもカレンシーの交換が起こっているよう。それは食事しながら個人的な相談に乗っていたり、さまざまな情報共有をしているなかで行われているようです。
 先生も先生ではいられない、ということでしょうねえ。先生たちのご意見をうかがいたいな。
(写真は「先生」とは関係ありません)

2008/06/03

8月1日 ステークホルダーマネジメント〜「影響力の法則」セミナー

 主としてプロジェクトマネジャーのみなさんを対象とした、1日セミナー “ステークホルダーマネジメント〜「影響力の法則」セミナー” が、8月1日(金曜日)ダイヤモンド石山記念ホール(東京都渋谷区)にて開催されます。
 プロジェクトマネジメントの一領域に、このステークホルダーマネジメントがあるのですね。ステークホルダーですから、プロジェクトの発注者、上司、他部門のマネジャー、メンバーだけでなく、協力会社のマネジャーなど、関わっていかなければならない相手は少なくありません。それにもかかわらず、たいがいやっかいな相手が多い。やっかいだなあ、弱ったなあ、という問題に、人が絡んでいる方には、役立つセミナーですよ。ぜひご参加を!株式会社PMオフィスとの共催です。
http://pmstyle.biz/smn/influence.htm

2008/06/02

「影響力の法則」続編


 「影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル」は、おかげさまで多くのみなさんの元にお届けしてきました。なかには「本当に役立っている」といってくださる方がいらっしゃいます。嬉しい限りです。
 この秋を目標に、翻訳していない残り8章の邦訳を出版する予定です。プロジェクトを動かす、変化への対応、など難しい状況での対応について書かれた応用編。出版は再び税務経理協会です。今日、税務経理協会を訪れ、常務の大坪克行さん、編集者の新堀博子さんと続編の相談をしてきました。話していると、いろいろなアイデアが湧いてきます。実はこれも影響力。他者のアイデアに、お互いに触発されていますからね。どんなものができるのか、楽しみです!

2008/06/01

門前仲町と成田山


 20年来の友人、久保田浩史君と、門前仲町でいっぱいやりました。久しぶりに歩いてみると、実に懐かしい感じの街ですね。ここに成田山があることは忘れていました。富岡八幡宮と並んでいます。深川の街の多くのみなさんが、不動明王の姿を仰ぎながら、自分を励ましてきたのでしょう。そうしてあの商店街が続いているのではないかな。

プロジェクトリーダーの憂鬱

 ソフトウェア開発のプロジェクトリーダーの方とお話ししました。これまでに色々あって、アフターセールスのチームリーダーと折り合いが悪いそうです。彼の開発が遅れて、アフターセールスチームはお客からさんざん文句を言われてしまったのですね。
 その問題は解決したのですが、そのあとです。なんとなくわだかまりがある。不信感を抱いているのを感じる。そのため、何か依頼したいことも躊躇われて、逆に相手に妥協してしまうことがしばしばだ、というのです。
 カレンシーの交換、という観点で説明すると、よく分かりますよね。相手にネガティブなカレンシーを渡してしまっているので、そのあと何となくカレンシーの埋め合わせをしているという状況です。うーん、きついですよね。こういう相手が何人もいたら、出社するのが嫌になってします。同僚が、借金取りのように見えるでしょう。それで、利息だけ払い続けている。
 さて、どうするか・・・。ここは一括返済した方がよいでしょう。「ごめんなさい」をはっきりいうことです。そのうえで、これからあなたとうまくやっていきたいが、どうしたらよいか、と尋ねてみてはいかがでしょう。このような思い切った歩み寄りは、相手の意表をついて、ぐらっとくる可能性を高めます。
 彼が、もっとラクに仕事できたらいいな、と心から思いました。がんばって!

2008/05/29

再開

 ずいぶんご無沙汰してしまいました。
 この間、影響力の法則セミナーを立ちあげました。これまで数十名の方に参加していただき、みなさんそれぞれに少しでもお役に立てただろうか、と振り返っています。
 今週は、福井市のオレボビジネススクールにて、ケースリードをして参りました。現地のビジネスリーダーのみなさんが参加され、影響力の法則のケースをディスカッションするのです。みなさんのお話しをうかがっていると、やっかいな相手であってもカレンシーの交換を進めることによって、ものごとが動いていくのは、どのような状況でも同じと確信します。どれだけカレンシーを交換したかで、大きな仕事をするとき人が動くかどうかの差になると、あらためて思いました。
 昨日は、私が週1回授業をしているフェリス女学院大学の建学の理念、For Othersについて、うかがいました。フェリス女学院は創立140周年を控えた、日本で最も古い女子教育機関のひとつです。For Othersは、創立後数十年を経て定まった理念とのこと。私はこの理念が、小規模な私学を継続させてきたのだと感じていました。おもしろいのは、この理念が意味するものです。いわく「他者のために」というよりむしろ「他者に向かって開かれていること」なのだとか。このお話を「影響力の法則」で説明すれば、これも他者に気持ちよくカレンシーを渡すことを示しているような気がします。キリスト教倫理的には、無償の愛といえるかもしれません。

2008/02/06

日本経済新聞の書評をいただきました

 日経で書評を書いていただきました。影響力の法則の本質を突いていただいているかなと思います。ありがとうございます!
 この書評をいただいてみると、私たちとしては、単なる人心掌握術でなく、自分の知識や能力を活かすための戦略だ、と強調した方がいいな、と思います。
 リーダーは自分の打ち出した目標を実現させることが、メンバーからすれば1人1人が持っている知識や能力を、組織を通じて現実化することこそ、課題であるはずです。それは他者が動くことによって、初めて実現するといっていいでしょう?言い換えると、自分自身を世界の中で活かすには、人を動かさなければならないのです。
 影響力を発揮することには、そんな意味があると思っています。
 
 それにしても日本経済新聞の威力は大きく、書評がでてからよく売れているようです。

2008/02/02

アラン・コーエン


 先日、事業創造大学院大学の招きで、「影響力の法則」の著者のひとりアラン・コーエン博士が来日されました。同大学院がエグゼクティブプログラムの実施にあたり、コーエン博士が所属するBabson Collageと提携したためです。
 この機会に、私もアランと会い、影響力の法則について話し合いました。日本でも大いに必要とされるていることが確認できた様子。書籍の販売も好調であると聞かされ、喜んでいました。
 これは、丸善丸の内本店でのコーエン博士。ご機嫌です!

2008/01/31

「影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル」が 「ビジネス書の杜」2007年Award受賞!

 「ビジネス書の杜」で2007年Awardをいただきました!
 このAwardは、年間300歳以上のビジネス書を読むという「ビジネス書の杜」主宰者好川哲人さんが、2007年のベスト、と評価してくださったものです。ありがとうございます!
 多くの日本のリーダーのお役に立てるだろう、との期待はは、ますますふくらんでおります。おかげさまで、これまでにも多くの方に読んでいただきました。
 2月18日に記念講演?があります。
ご興味のある方は、こちらをご覧ください。

2008/01/06

書評をいただきました

 立教大学リーダーシップ研究所の日向野幹也教授から、書評をいただきました。先生のブログに書かれています。ありがとうございます!

 日向野先生と立教大学リーダーシップ研究所の先生方が書かれた『入門 ビジネスリーダーシップ』を拝読しました。立教大学は学部の学生に対して、リーダーシップ養成を図っており、その取り組みにはいつも感心します。
 リーダーシップは、少なくとも若い時期から開発しなければなければ、ならないと考えられています。私も何人かの優れたリーダーと思われる人に話を伺っていますが、遅くとも10代の後半にはリーダーシップの目覚め、のような体験をしていると感じています。そしてそのような体験を、誰もがしているわけではありません。企業でリーダーシップ開発を担当してきた経験から、リーダーシップ研修が誰にでも効果的であるわけではない(つまり、学習効率が悪い人がいる)ことと、この若い年代での経験は関係あるだろう、と感じています。
 10代の終わりから、リーダーシップの開発に取り組む立教大学の試みは、注目に値すると思います。
 本書は、学術論文から講演録まで多様な文献が編集されており、現在のリーダーシップ開発を俯瞰するのに役立ります。



2008/01/03

翻訳のきっかけ2

 著者たちが私たちに翻訳を任せてくれる!これには本当に興奮しました。版権をもっている出版社の版権担当ディレクターを紹介してもらい、これは本当に翻訳できるぞ!と実感がわきます。こちらの版権担当者もすぐに連絡をくれ、日本の大手出版社の版権担当者を紹介してくれたのです。
 書籍の版権はそれぞれ発行元の出版社が管理しています。またそれを翻訳するかどうかも、出版社の版権担当者が管理しているのです。私たちは小躍りしながら、紹介された日本の版権担当者に会いに行ったのでした。
 しかし、現実はそう簡単でないということも、まもなく知ることになります。

2008/01/01

オープンコース開催準備

 「影響力の法則」セミナーも、着々と準備を進めてきました。すでに複数のテストと評価、さらに各社の人材教育責任者の方を集めての特別セミナーでも、高い評価を得ています。
 内容は、書籍「影響力の法則」に従っていますが、学習方法には工夫も凝らし、セミナーならではの新しい体験をしていただけると思います。これは私たちにとって今年の大きな事業。気持ちも高まっています。
 近く日程を発表します。

あけましておめでとうございます

 謹んで新春のお慶びを申し上げます。
 旧年中は多くの皆様のお世話になりました。私たちにとっては『影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル』の出版が大きなできごととなりました。これに慢心することなく、ひきつづき新しい働き方、新しいキャリアに役立てていただけるサービスを提供して参ります。
 2008年2-3月に「影響力の法則」セミナーのオープンコースを開催します。年内に数回の開催を予定しています。『影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル』は、続編の出版が目標です。
 「影響力の法則」を多くの方のもとにお届けするのは、大きな挑戦だと思っています。多くの方のご助力が必要です。本年もご指導、ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願いいたします!