2008/06/08

ロレンツォのオイル

 先週、ロレンツォ・オドーネ氏の訃報を新聞で見つけました。映画「ロレンツォのオイル」のロレンツォその人です。30歳。長くがんばったんだなあ、お疲れさまでした、と心から申し上げたいと思います。
 映画を振り返ってみると、ADLを発症したロレンツォの両親は、治療法を必死で探します。その没入度は尋常ではなく、親の愛の強さ深さに感動しないわけにはいかないでしょう。苦労の末に、オレイン酸とエルカ酸の配合油が特効薬であることを発見します。
 この過程で、何人もの協力者を得ていきます。これが映画で見る限り情熱が最大のカレンシーとなるのですが。今回注目したのは、ロレンツォの父親オドーネ氏が、製薬メーカーにエルカ酸を作ってくれと頼みに行くシーンです。先方の科学者はそれはできないと断ります。エルカ酸には、副作用もあるのです。しかし同僚の女性に促され(何かカレンシーを返さなければならない相手と思われる)、オドーネ氏が用意した資料を見て他の科学者たちに知らせることを約束してくれます。「これはあなたが書いたのですか?」と絶句するところ。科学的な裏付けや、(再び)情熱、実際の行動は、有力なカレンシーとなり得ます。それには、相手に分かるものでなければ。この場合、科学者が驚くような内容だったことも重要と思います。
 オドーネ親子のご苦労に、あらためて敬意を表したいと思います。

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