2008/07/02

楽器と一体

 今日、面談した学生が、面白いことを言っていましたよ。彼女は音楽学部の2年生で、ピアノが専門です。ピアノが人生のような学生です。
 私も、拙いながらもラテンパーカッションを学んでいると話すと、とても喜んでくれました。楽器が好きな人は心が広い。そこで私もいいところ見せようと思って「パーカッションをたたいていると、手のひらと楽器が一体になる感じがすることがあるんだ。ピアノでもあるのですか?」と尋ねました。鍵盤と指がひとつになるだろうか、との疑問を投げたのです。
 すると彼女、嬉しそうにこう答えてくれました。「ありますよ。私はグランドピアノが好きなんです。演奏しているとピアノの弦が見える。その弦の動きが自分の体の中に入ってくるのです。この感覚が気持ちよいのです!」この学生の話しに、私はすっかり魅了されてしまいました。そうかこの若さでそういう体験をしているんだなあ。私の楽器遊びとはレベルが違います。年齢にかかわらず相手に対する敬意を忘れてはいけない。
 この一体感のはなし、仕事の中でも体験できると思います。たとえば、本田技研の元社長久米是志氏が書かれた『「無分別」のすすめ』(岩波アクティブ文庫)などにも、主体と対象物の一体化の話しが見られます。久米氏のみならず、多くのかたがそのような体験を打ち明けています。
 これが対象物だけではなく、人との間にも似たような一体化を感じることがありますよね。いかがでしょうか?共通の目的に向かって夢中で仕事をしながら、強い協力関係ができてしまう。すると同じ目的の中で他者とひとつになっているような感じ。相手の世界が手にとるようにわかる。よしそれにのってやろう、とフットワークも軽い。すぐれたサッカーチームやオーケストラのようなイメージですね。
 このようなとき、自分も相手も自然に強力な影響力を発揮している。影響力の法則は、そのような状態をモデルにしたともいえます。
 私思うのですが、若い人から影響を受けられるというのは、なんというか幸せですね。若者の可能性を信じたいと思います。

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