2008/07/25

イベント終了とブログの書評

 「影響力の法則 現代組織を生き抜くバイブル」が、Dain氏のブログ「わたしが知らないスゴ本を、きっとあなたが読んでいる」にてスゴ本として取り上げられました。ありがとうございます。こちらのコメントは、読み手の方の視点がよく分かり、とても勉強になりました。この方相当読んでいらっしゃいます。
 そのおかげ+日経ヒューマンキャピタルのおかげ(かな)で、Amazon.co.jpでは、ひさびさに順位を100位前後まで順位を上げました。なにか我が子の成績が上がったような嬉しさですね。

 一方、日経ヒューマンキャピタル2008では、本日夕方のワークショップに、100名を越えるお客様にお越しいただきました。40名以上のみなさまに、入場いただけないという不手際で、まことに申し訳ないことです。
 それでも、あらためてみなさん上司や同僚、難しい部下との関係に苦慮されているのだと再認識できたのは収穫。とくに年々ますます変化が激しくなっていますから、上司や他部門のリーダーを早く巻き込み協力してもらうことは欠かせないようです。印象としては、複雑な製品、サービスを提供されている企業ほど、影響力の法則に関心をお持ちのようです。
 ワークショップが、みなさんのお役に立てると嬉しいのですが、ご参加のみなさん、いかがだったでしょうか。

2008/07/24

日経ヒューマンキャピタルでお会いしたみなさんとの会話

 日経ヒューマンキャピタル2008も、今日で二日目。昨日は約9,000のご来場者数だったことを考えると、今日はそれを上まわったと感じました。暑い中多くの方のご来場をいただき、ありがたいと思っています。私は人材開発関係に20年関わっています。そのような私には、このイベントはちょっと場違いと感じるほどまぶしすぎます。若い人たちが大勢がんばっています。以前はどちらかというと若くない人の業界だったと記憶していますが、変わりましたね。また、行動科学系の人が多かったのが、今はビジネスコンサルタントから参入している人が多いと思います。基本的な学習のフレームが大きく変わってきた、と感じます。

 さて、本日お話しさせていただいたみなさま。ありがとうございます。業種、職種は様々でしたが、権限を使わずに人を動かす、というコンセプトには、どなたからもご賛同いただけます。みなさん悩んでいらっしゃるのですね。印象としては、ビジネスが複雑になるほど、この悩みが大きいということ。製品が複雑で部品点数も多いようなビジネス、グローバル組織など、複雑なビジネスに関わる方々の方が、より難しい状況にあることがわかります。そういうときほど、早く協力関係を築くことが求められるはず。現場ではたいへんご苦労されているのではないでしょうか。あらためて、そのような仕事の現場で「影響力の法則」がお役に立てると思った次第。
 一方、他人のことなんか知らないよ、という人々が職場に増えているのが悩ましい、というお話しもうかがいました。このこともときどきうかがいます。うーん、確かに悩ましいですね。私はこう考えます。まずは、自分の仕事が他者がいないと成り立たないということを、あらためてよく認識しなければならないでしょう。ほとんどすべての情報は、本、ネット、会話などによって他者を通じて入ってきます。すべてを体験することは、現実的ではないですよね。自分が判断し決断するための情報のほとんどが、他者を通じて得られるという事実に目を向けること。そのあたりまえのようなことを、みんなで心がけるしかないんじゃないかなあ。つまり、レシプロシティが働いている事実を受け入れるようにすること。これが、結果的に人が協力してくれる条件だと思います。

2008/07/23

親の話を聴く


 今日で前期の授業は終わり。学生さんたちは、最終レポートを提出してくれました。「人生の先輩にキャリアの足跡をうかがう」という課題です。今年は父親に訊いた人が多かったですね。昨年よりも。ついで母親かな。
 それで、今日はインタビューから学んだことを討議しました。その中で、親など周囲に振り回されずに自分で決める、といったことを話してくれた学生がいました。インタビューしたお母さんは、そうしてやってきたのだとか。できればそうありたいと、誰でも思うでしょう。成功のカギは、おそらく親にはっきりと自分の意思を伝え、味方につけることに違いありません。ではどうしたらいいのか。
 ひとことで言えば、親の話をよく聴き、理解することだと思います。親の側からすると、「いくらいってもわからない」娘や息子の話を聴く気にはなりません。仕方がないから、「わかるまで」しつこく言う。だから聴きようがない。しかし、「うちの子も最近大人になって、親の言うことがわかるようになったかな」などと思われると、本当に大人あつかいしてくれるのです。これが、学生には知ってほしいことです。
 実は学生以上に、会社員にも知ってほしい。「親」を「上司」に言い換えてみましょう。「わかっている」と思われるまでは、話しを聞いてもらうのは難しい。ここが組織を生き抜く戦略。法則3です。
 それにしても、今日はヒューマンキャピタル2008のあと大学でしたから、暑い中へとへとでした。

今日から日経ヒューマンキャピタル2008


 今日から日経ヒューマンキャピタル2008が始まります。昨日会場の設営をしてきました。今日は途中で抜けて大学の授業にも向かいます。みなさんとお会いできるのが楽しみです。

2008/07/21

頭を下げる

 ドラマ「監査法人」は、週末に最終回を迎えました。現実の監査法人の仕事ぶりとはずいぶん違う、というコメントが多かったですが、まあドラマだから楽しめればいいでしょう。最終回は、また大いに楽しみました。
 まずは、元上司。橋爪功演じる元理事長が、主人公に自分たちの世代が築いてきたものについて説く。オイルショックのときも、将来を信じて対応してきた。お互いの努力を信頼して乗り切ってきたのだと。今は、ルールーを厳格にするばかり。もっと将来を見据えられないか、とのメッセージです。正しければ良いわけではない。
 次いで、若い主人公(塚本高史)が二度人に頭を下げるところ。一回目は顧問になることになったメーカーのトップに頭を下げる。もう一回は、監査を頼みに訪ねた元勤務先で、これもまたもうひとりの元上司に頭を下げる。すると相手が態度を変える。この頭を下げるというのが、本気を示すことになるのだと思います。下手に出るのはリスクですからね。こちらを信頼できるか推し量っている相手にとって、これは大きなカレンシーになるのでしょう。そういえば、心から頭を下げる場面というのを、めったに見なくなった気もします。私自身、アメリカ系の会社にいたときから、自分が頭を下げなくなったと思ったことがあります。かわりに手を振る(^_^;) 今になって、それが日本社会でカレンシーの交換を進められなかった原因だと感じます。また偉くなると頭を下げられないというのもありますね。
 相手と本気で付き合うのなら、自分の正当性を横に置いて、本気のところを示さなければならない。それはリスクを負っていることを示すことです。ところがこれが簡単じゃないんだな。何が本当に大事なのか、自分のプライドなのか、ミッションなのか。忘れないようにしたいと思います。

2008/07/20

教員採用試験の不正

 大分県の教員採用試験がらみの問題が、連日報道されています。「ああ、やっぱり」というのが本音。私が学生時代も、コネがなければ教師にはなれないとか、校長に紹介してもらいなさい(誰を紹介か、聞いておいてもよかったな)、などとまことしやかに言われていました。
 しかるべき人に商品券を渡し、子息を採用させる。このようなカレンシーの交換は、汚職の典型的な構図です。これほどまでに、レシプロシティは強い、としか言いようがありません。渡せば返ってくるのを期待できる。もらったら返さなければならない。だからこそ、本来の目的を見失ってはいけないのです。権限を持てば、頼りにされます。頼りにされるというのは、嬉しいもの。それ自体が大きなカレンシーになります。いったん金品を渡されたら、自分はどう反応するか。やはりお返ししなければならなくなるでしょう。だからこそ、断る力が必要になります。自分の中に筋が通っていないと、自分でもコントロールできない力が働いてしまいます。ちょっとならいいか、ということにはならないのです。
 今回のようなケース。権限を持つ人がおねだりしているところにあきれます。官製談合などもそう。しかし、これは一度始めたら、その人の欲望でかたづけられないほど、強い力が働いているからと考えた方がいいのではないかな。少なくとも、Aさんにやったのと同じぐらい、Bさんにも公平にしなければならないでしょう。最初に断る強さが肝心ですね。