2008/08/01

編集者の仕事

 今日は「ステークホルダーマネジメント」セミナーを実施してきました。ステークホルダーマネジメントは、プロジェクトマネジメントの一領域です。そこに影響力の法則で応えようというものです。その中に、今回初めて編集者の方が参加しました。編集者はプロジェクトマネジャーとはもちろん違いますが、やっかいな人々の協力を得なければならないという点で、ステークホルダーマネジメントしていると言えます。
 最大の課題は、ライターに期日までに書かせることだそうです。それも良い内容を本気で書いてもらわなければならない。そのためには、もちろん原稿に対して報酬を支払うのですが、記事を書けばライターとしての評価が上げること、また仕事の機会が与えられること、多くの人の目にとまることなど、編集者がライターに渡すカレンシーがいくつもあることに気づかされました。良い記事を書けば、ライターにとってキャリアのチャンスが拡がるのです。そう感じる人は、真剣に良い仕事をするに違いありません。こうしてカレンシーの交換を繰り返していくうちに、信頼関係を築けるのでしょう。ですから、編集者としてはライターに誠実に接しなければならないなと思いました。
 ところで、新聞記者出身の彼が言うには、新聞よりも雑誌の方がウラをとっているのだとか。それを聞いた一同は一様に驚かされました。みんな逆だと思っていたからです。雑誌の方針によるのかもしれませんが、ちょっと意外。そうなんだ。

2008/07/31

膨大な情報

 今日のセミナー(とあるメーカーのプロジェクトリーダー研修)でお目にかかった方が、こういっていました。今の仕事は膨大な情報を抱えている。そのうち半分ぐらいは無駄なものかもしれないし、どれが役立つのかもわからない。だから、関係者で情報を素早く共有し、使えるものを組み合わせていかなければならない。なるほどね。そうして初めてプロジェクト成功の入り口に立つのでしょう。
 ここで自分の持っている情報を他のメンバーと共有するのは、やはりカレンシーの交換と言えます。こちらの情報を出す、かわりにあなたの情報をもらう。そうして、要求される高度な仕様に応えるための糸口を見いだす。この交換は、相互の理解を必要としながら、早く行われなければなりません。技術的な知識レベルとコミュニケーション能力、両方の高さが求められます。そしてもちろん、関係者に共通の目標と目的が、認識されていることが条件になるでしょう。逆にひとりで抱えていては、仕事になりませんね。自分の情報を開示することがカギになるだろう、とその参加者は言っていました。同感です。

2008/07/29

信頼関係と影響力

 私たち、信頼できる相手の話なら聞いてもよい、と考えるのではないかと思いますが、みなさんいかがでしょうか?これは言い換えると、信頼でいる人から影響を受けやすいと言うことです。「彼が言うんだから、間違いないだろう」とよく言いますよね。部下が話しを聴くリーダーも、信頼される人と言っていいでしょう。ジョン・コッター教授は、信頼を積めば「信頼預金」になり、影響力につながると表現しています。スティーブン・コヴィー博士は「信頼残高」という表現も使っています。要するに、人を動かしたければ、日頃からの信頼関係がとても重要だということです。
 先日、以前勤務した会社で他部門のマネジャーだったかたから、うちの会社で研修をやってくれ、といわれたときは、嬉しかったですね。当時私ごときが信頼に値したのかな。これはとても大きなカレンシーでしょう?こうなると思い切りお返ししなければ、と思います。レシプロシティの法則はやはり働いています。相手の立場を考えたら、こうした方がいいんじゃないか、などというアイデアも湧いてきます。彼の意図に応えられれば、また信頼されるというもの。ビジネスはそうやって動いているわけです。このあたりを、社会心理学者で北海道大学教授の山岸俊男博士は、商人の原理で社会関係が豊かになる、というような論理で説明されています。商売が人を磨く、という主旨のことを、松下幸之助氏、稲盛和夫氏など、多くの経営者が述べています。商売に限らず、何でもやりとげれば当然と思います。

2008/07/27

インドの衝撃=影響力の法則の衝撃 でした。私には・・・

 NHKスペシャルで、先週と今週3回にわたって「インドの衝撃」が特集されました。人も金も集まってくる様は、フリードマンが『フラット化する世界』(日本経済新聞2006)で描いたものそのもの。人口10億人ですから、迫力がありますね。
 私がもっとも衝撃を受けているのは、そのままでも鍛えられて頭の回る人たちの、コミュニケーションのすさまじいこと。先日製薬メーカーの研究開発部門でのミーティングの様子が映されていました。これが立ったままのブレーンストーミングで、どんどん結論を出していくのです。互いの見解にオープンですから、やりとりしながらどんどん新しいアイデアが出てくるのですね。それも早い。これこそ「影響力の法則」が、職場に機能しているひとつの結果です。
 それとくらべると、グループ会社になった日本の製薬会社の生産部門では、みんな姿勢を正してシーンとしていましたね。交換が少ないから、アイデアが共有されない。このままでは何もでない。アイデアがでたとしても、リーダーにこっそりささやく。それは「リーダー、あなたがひとりで責任を負ってくださいね、私は知りませんよ」といっているようなもの。リーダーが自ら首を絞めていく姿に、目が釘付けになりました。脳(能?)停止状態だなあ。心配。