2009/11/07

沈まぬ太陽

 映画「沈まぬ太陽」を観ました。山崎豊子の原作が日航をモデルにしている、現実とかけ離れている、などなにかと話題の映画です。なにしろ、このタイミング。何らかの恣意を感じる人がいても仕方ないでしょうね。

 それはともかく、3時間半、途中休憩つきの映画を、最後まで楽しみました。主人公は会社から理不尽な扱いを受ける。「そんな事実はない」ともめている部分ですが、まあ、会社組織の中にいれば、多かれ少なかれぶつかる壁でしょう。信念を貫けば傷つく。迎合すればラクか、というと必ずしもそうではない、そんな不条理が描かれていて、それはそれでおもしろかった。

 もっと興味深かったのは、主人公が2度目のアフリカ勤務を命じられる最後の部分。心配する家族に対して、今度は心から行ってみたいんだ、と言う。この50代の心境の変化、心理的な成長に、ぐっと惹きつけられました。さらに、事故被害者の遺族に対して、「自分の苦しみはあなたの百万分の一にすぎないけれども、一度ぜひアフリカの大地を訪ねてください」と手紙に綴る。この勇気。加害者側にいる主人公が、被害者に対して「あなたはすでに救われているんです」と伝えるのは、相手に対する信頼抜きに考えられないことです。このカレンシーは、相手にどう伝わったでしょうか。

 そういう意味で、とても感動しました。

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