2009/11/22

映画 おくりびと

 アカデミー賞海外語作品賞受賞作「おくりびと」を、ようやく観ました。いいお話しですね。私が感銘を受けたのは、主人公が新しい、それも周囲が良く思わない仕事をしていく姿と、前職まで打ち込んできたチェロを弾く姿が重なっている部分です。仕事とは音楽を奏でるようにするものだ、人生は毎日の仕事の積み重ねだ、と感動したものです。

 その一方で、もう一つ物足りなさを感じたのも事実。主人公のまわりの人が、いい人過ぎるのかもしれません。出て行った妻は戻ってきてくれるし、友人は許してくれる、上司は個性的だけれども人間味にあふれている。主人公はこの体験を通じて成長しているにもかかわらず、地を這うような苦しみから得られた何かが、描かれていないからかもしれません。

 出て行くときに妻が言います。「これまであなたの言うようにしてきました。だから今度は私の言うことを聞いてください」でも主人公は、嫌だと言います。これだけカレンシーを受け取ってきて、何のお返しもしてないじゃないですか。そこが不自然な気がしたのだと思います。そういう意味では、最後に父を赦す。ここにむしろ西欧的なニュアンスを感じ、アカデミー賞受賞は納得できるね、と家では話していました。

 そうはいっても、美しい景色と人の優しさ。いつかまた観たくなる映画だと思います。

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