2010/01/21

助けてと言えない30代

 今日のNHK「クローズアップ現代」(“助けて”と言えない~共鳴する30代~)では、30代の若者が他人に助けを求められない、ということが報道されていました。テレビに出てくるのは本当に人の良さそうな男女です。少なからぬ若者がホームレスでいることを見て、あらためて衝撃を受けました。番組の分析は、自己責任を強いられた世代が一人で抱え込んでいる、というものです。この分析のぜひはともかく、たしかに一面をついているのでしょう。

 私が思ったことは3つ。まず、論理療法がよい、ということです。登場する助けを求められない若者は「すべてを自分で処理しなければならない」「自己責任を果たせない私はだめ人間である」というイラショナル・ビリーフをもっています。彼らは自分の無力を裁いていますが、論理療法では人は人を評価できないと教えます。なぜなら人はみな同じ次元にいるのですから。異なる次元にいるのは神です。イラショナルとは神になろうとしていること。それは合理的な考え方ではありません。この考え方を変えないといつまでも苦しんでしまう。論路療法派の私としては、一般的な認知行動療法では不足で、ここは人生哲学を教えなければならないと考えます。國分康孝先生の各著作を読むと良いのではないでしょうか。

 次いで考えたのは宗教です。北九州で若者のホームレスを支援する牧師が出ていました。今日はキャリアについて教えており、「日本には日本独自のキャリア開発があるな」と考えていました。仏教的なアプローチです。しかし、番組に登場する若者たちに必要なのは、むしろキリスト教だと感じました。自らを裁くことを止める、そして「絶対の愛」と向き合う。これはキリスト教の世界です。ただ、五木寛之であれば、浄土真宗もよい、ということになるかもしれません。

 そして、人間関係の本質を教える。つまりカレンシーの交換で人間社会が成り立っていることを理解させること。他人に助けを求めるのは、普通に考えれば相手に借りを作ることになります。カレンシーを渡すと返したくなる、というわけです。しかし現実は、そう単純ではありません。助けを求められると「役に立てるんだ」と嬉しくなることもあるのです。カレンシーを下さい、ということが相手にカレンシーを渡すことになる場合があるといえます。たとえば、高校生の子供に相談を持ちかけられる親は嬉しい。ここがおもしろいところなんですが、人間関係が上手く築ける人はこれを知っている気がします。なかには甘えっぱなしの若者もいますから、一概には言えませんが、このあたりの人間関係の妙を、年長者は教えてあげると良いのではないでしょうか。

 いずれにしても、若者にこれからに光を!というのが私の願いです。

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