2010/01/30

明石氏の交渉2

 明石康「独裁者との交渉術」はおもしろかった。やはり相手を動かすには、相手のふところに飛び込まなければならない。あらためて感じます。彼は相手と交渉するためであれば、戦闘地域にも乗り込んでいきます。目的が和平にあれば、その軸はずれません。対してメディアは相手は極悪非道の独裁者だから、そんな奴らと交渉するのは弱腰だ、とくるわけです。

 さて、こういう話しは会社にもありますね。私たちは自分の邪魔になる人は、「わからずや」「バカ」「性格が悪い」と思えてきます。まあ、そうかもしれない。ところがそう思ったとたんに、話す気がなくなってしまいますから、結局何も変わらないとなる。

 相手を動かすには、目的を見失ってはいけない。仕事にも適用できることです。

2010/01/28

明石康の交渉

 この人の本は読んでみたかった。ちょうど『「独裁者」との交渉術」』(集英社新書)が発売されたので、お客先からの帰りの電車で読みました。まさにInfluence without Authorityです。まず現実的。紛争回避が最大のミッションですから、そのためなら国連本部とも対決する。部分空爆も避けない。あいての懐にどんどん飛び込んでいく。ポル・ポト(本人とは直接会っていないが、側近と)、ミロシェビッチ、など独裁者にも会いに行く。欧米のメディアに非難されても。結果、彼が行くところ調停が進む。

 その中で、今日はひとつ。相手を敵とは思わないこと。敵と思ったら動かないそうです。これはInfluence without Authority「影響力の法則」第一の法則だ。私はこういう話しが大好きです。

 木村元彦氏(ジャーナリスト、「オシムの言葉」著者)のインタビューもすばらしい。まだ残りがあるので、明日の移動が楽しみ。

2010/01/27

厳しい会社

 昨日投稿の日本電産を始め、昨今元気な会社はいずれも厳しい組織だと言えます。トヨタ、京セラ、キーエンス、リクルートなどなど。学生には、会社訪問で厳しい雰囲気の会社を選びなさい、その方が自分が伸びる、と述べました。

 悪くないアドバイスでしょ?

 今日で今年の授業は終わりました。あとは、採点です。

2010/01/26

日本電産の採用

 日本電産はモーター・デバイスの世界的なメーカーです。このたび「日本電産 永守イズムの挑戦」(日本経済新聞社)を読みました。京セラ、オムロン、堀場製作所、村田製作所、村田機械(村田会長には「影響力の法則」を応援していただいています)と、京都にはいいものつくりの企業があります。日本電産もそのひとつ。創業者永守重信氏の個性的な人柄、M&Aによる急成長でも注目されています。これからしばらく勉強させていただかないと。

 さて、この本、とてもおもしろい本です。こんなトピックがありました。採用です。京都大学工学部の学生で他社に入れなくて受験してきたものと、有名大学ではないが日本電産に入社したくて来る学生のどちらを採用するか。日本電産では、もちろん後者であるそうです。前者は日本電産から内定をもらっても嬉しくもないだろう。対して後者は、大喜び、一家を挙げてお祝いするはずだ。そういう若者の方がよく働く。永守氏によれば「能力の差はせいぜい2倍、いい仕事をしようという意識の差は100倍、1000倍にもなる。だから意識の高い人を採る」と明快です。こうして高い組織力を発揮するのでしょう。

 これをカレンシーの交換で考えてみると・・・受け取るカレンシーが大きいと感じる人は、小さいと感じる人よりも、ずっと大きなお返しをしようとする。このお返ししようという意識が、実際にお返しできるまで、大きなエネルギーになるといえます。恩を感じている人、借りがある人の方がより大きな力を発揮するのには、こうした理由があると思います。
 ずいぶん昔、佐川急便のセールスドライバーは借金があれば即採用、とまことしやかにいわれていました。辞めないで頑張るからだと。今もそうかもしれません。たしかにそういう人の話は真実味があります。採用の際、恩を感じているとか、借りがあるとか、傷を負っている、そんな基準を入れるのありでしょうね。

2010/01/25

社長の影響力

 社の方針を繰り返し述べても、従業員が理解してくれるとは限らない。社長の悩みどころです。なぜ、届かないのか。その一つの解が、カレンシーの不均衡にあると言えます。

 日頃からネガティブなカレンシーを受け取っている、と感じている人は、これ以上受け取りたくない。例えば、会社にこき使われてとんでもない、と思っている従業員なら、上長の話を聞かないでしょう。これはカレンシーの不均衡ゆえの反応と言えます。問題は、カレンシーが主観的なものであること。相手にちゃんと渡さなければ、価値がありません。そこで相手の立場を考え、受け取りやすいように渡すことが肝心。

 外資系企業の外国人エグゼクティブにありがちなのは、社の方針は伝えれば理解されるという誤解。我が国のサラリーマンは、目標や方針をいくら伝えても受け入れないことがある。キリスト教圏の人たちにとって、おそらく方針はCallingすなわち使命なのでしょう。それに対して、私たちは方針にどんな意味があるのか、トップは本気なのか、裏付けを求めたくなるように思います。この点が外国人幹部にとっての難しいところかも。以前社の方針を従業員に教育していたとき「ちゃんと教えているのか?」と責められたことがありますが、あの手この手を使わなければ方針を受け入れないので苦労したのは事実です。

 「神」のような裏付けがあると、もっと交換やコミュニケーションがラクなのに、と思ったりもします。

2010/01/24

日本の命運?

 NHKスペシャルは、日本のビジネスの命運、といったタイトルで、かつて世界No.1だった日本のテレビ産業の努力について伝えていました。現在では日本メーカーのシェア36%ぐらいなんですね。かわって韓国らアジア勢が50%をしめるようになってきています。日本メーカーは多機能化、あるいはモジュール提供にシフトとしようとしているようです。

 前者は多難かな、という印象を受けました。セルプロセッサーによる超高機能テレビはそれなりに魅力があるものの、本当に求められているのかなあ、と。すぐに追いつかれてしまうし・・・。ただ、複雑化に伴い社内外のコミュニケーションが頻繁になっていることには目を奪われます。現場での改善(設計後という意味だと思います)が、3000件を越えたということですから。大変な組織能力だと感心しました。

 一方、ラジオモジュールをテレビに内蔵する、というJVCケンウッドの提案は、従来の完成品メーカーにはない提案です。中国の製造メーカーに売り込み、その企業の顧客に食い込もうとしていました。そうして、ともに利益を分かち合おうというわけです。このような提案ができるということは、この会社はリストラの効果が出ているのかもしれません。

 いずれにせよ、優れた頭脳が求められることにはかわりありません。外国も含めたタレントを統合する組織能力はいよいよ必須。個人も専門能力を高めると同時に、いかにして自らの専門知識をつかって影響力を発揮するかが問われている。番組のメッセージをそのように理解しました。やはり、貴重な若い力を活かしましょう!