2010/07/10

パリ20区、僕たちのクラス

 「パリ20区、僕たちのクラス」を観てきました。第61回カンヌ国際映画祭 パルムドールの秀作です。
 
 まず、あまりにも日常的な学校の場面だけでできている映画の構成に感心しました。学校以外の場面がないんですよ。そして、ハッピーエンドでもなく、若者たちにとっての人生そのものと、教師の葛藤を、淡々と描いている。これがカンテ監督の世界観でしょうか。
 少年たちは素晴らしいパフォーマンス。クラスには大きな事件が起こるものの、1年後にはそれぞれが成長の跡を残している。教育に関わるすべての方たち、少年少女に観る価値ありと思います。

 教師と生徒の「カレンシーの交換」も見応えありです。
http://class.eiga.com/index.html

2010/07/08

刑事コロンボ

 コロンボにかかると、容疑者はべらべらしゃべってしまう。いつも、ここが見所だと感じます。どうしてしゃべってしまうか。

 1 コロンボはみすぼらしい身なりで、容疑者は自分の方が上だと思ってしまう。
 2 コロンボは、容疑者をやたらと持ち上げる。「こりゃ、すごいですね。高いでしょう?」とか。「よく知らない」という顔もする。
 3 「うちのかみさんが」と、女房に頭が上がらない情けない男、と思わせる。

 コロンボ研究家の方なら、いくらでもあげるんでしょうね。どうですか?

 注目すべきは、彼の言動がみんな相手にとってカレンシーになっているという点。「捜査から外されたんですよ」とかいって油断させ、反応をうかがってみたり、有名な「あ、もうひとつ」も。しつこい男が帰っていく、というカレンシーを与えたてちょっと安心したところに、質問する。

 これは大変な影響力です。

 でもね、これができないんですよね、こちらにプライドがあると。相手よりもいい洋服着ていたかったり、いいクルマに乗っていたかったり、何でも知ってるという顔したり。私もそうですね、人間ができてないんだな。馬鹿の顔をするのも、カレンシーになるんですよね。妻によく言われるんですけど。

2010/07/07

権力の継承

 しばらく書かないでいたら、事務局の升谷朋子さんにもっと書けと励まされました。やはり見てくださっている方がいるからには、継続しないと。

 今朝の朝日新聞には、北朝鮮における権力の継承について、論説主幹の船橋洋一氏が書かれていましたね。継承期には、いろいろな問題が起こる。たとえば、大韓航空機撃墜事件もそう。あれは、先代末期の政治や外交では理解できない理不尽な事件でした。今回の天安撃沈事件も同様、というのが日米韓に共通の見方だというのです。権力者への忠誠をいろいろな形で表明している、という各国の分析はおもしろいですね。

 もっとも興味深く感じたのは、「マフィア」型の忠誠誇示という米軍筋の分析。マフィアは人殺しができることをボスに見せることで評価される。天安撃沈は、そのような背景ではないかというわけです。つまり、権力者(ジョンウン?)に危険を冒すところを見せて、忠誠を示していると。

 たしかに、ボスのためなら恐れを知らず、という姿勢は大きなカレンシーになるものです。また、こういう部下が出てきてしまうと、追い詰められた上司ほど信頼するはず。嫌な時代です。

 このような状況で、いかに緊張を和らげるか。関係各国の相当な努力が必要ですね。