2010/09/21

就職講座への違和感

 ニュースで雇用の問題を取り上げています。就職講座で既卒者の若者にビジネスマナーを教えています。

 これでいいんでしょうか?

 学生の本分は研究でしょう?勉強と言ってもいい。勉強しているというのは、分からないことに向き合う苦労しているということ。私は週1回大学に行ってキャリア講座を持たせていただいていますが、勉強している学生と、そうでない学生はだいたいわかります。勉強している学生は、問題意識があるから気迫を感じます。この気迫を採用側は見ていますよね。採用難なのかもしれませんが、採用されている人はされている。

 もちろん、力がある人が発見されていない現実もあり、残念に思っています。しかし、分からないことに向き合ってこなかった人がビジネスマナーなど学んでいることが、問題の本質の気がします。世界各国の若者が必死に勉強しているのに、遊んでいる学生は働く場所が無くなっていく。世界で競争なんじゃないか。そこで表面取り繕ったら、表面で生きていると思われて、裏目に出ると思うんだけれども。どうなんでしょう。

 繰り返しますが、若者の就職難を残念に思いますし、気の毒に思います。でも、若者自身と彼らを教育する側が、ビジネスマナーでなんとなるという考えを改めないと、この状況はしばらく続くでしょう。

 では、勉強してこなかった若者はどうするか。いまからでも、何でも難しいことに飛び込んでみるんじゃないか。われわれは、彼らを励ましていきたいと思います。

2010/09/20

自動車メーカーの心理学者

 日本心理学会大会に来ています。大阪は暑いです(汗)

 安全心理学と自動車の研究開発のシンポジウムはおもしろかった。日本自動車研究所などの研究所、メーカーの研究開発部門の研究者がそれぞれの取り組みを話されました。みなさん持ち時間を越えて話すので大幅に時間オーバー。みなさんの熱意を感じます。一言で言えば、ドライバーの認知心理学的、神経生理学的反応を理解し、自動車技術にフィードバックするというもの。たとえば、居眠り運転や出会い頭事故、高齢ドライバーへの対応がテーマのようです。自動車メーカーで心理学が活躍しているのに感心しました。

 うーん、会社によっても異なりますが、新しいデバイスで事故を減らそうというとき、どういう自動車にしたいのか、という理念が見えてこなくて、技術突出という気もしました。案の定、指定討論者からその点を突っ込まれ、自動車を操縦することの楽しみなど無視してよいのか、などと言われていました。すべて自動操縦になったら、クルマでなくてもいいですからね。個人的には、マツダにはXoom Zoom(自動車の楽しみを示すマツダのシンボル。パワーポイントの背景にもなっていました)を感じたのですが、彼だけが工学出身というのもなんとも言えないところ。心理学者はもっとクルマを知った方がいいのかも。

 その点、ヤマハの大本先生は自らバイクでテストコースに出て実験しており、さすがだなあ、と思いました。帰りのモノレールでばったりお目にかかって、少しお話しし、この方は社内で自分の立場をよく売り込んでいると思いました。社内に心理学者は一人だそうです。機械の世界で、きわめてマイノリティじゃないですか。そんななか、自分を活かすには、相手の世界に飛び込むしかないと思います。大本博士は自分でバイクも乗るし、船舶免許も持っていて実験していると笑っていました。これがカレンシーとなって、機械屋さんを動かせるんだと思います。

 特殊技術を持っている人を組織はどれだけ活かせるか。一方本人も自分を活かすことを必死で考えてほしいところ。研究者にも影響力の法則を活かしてほしいですね。