2011/02/20

ラオ教授の・・

 「ラオ教授の幸福論」(マグローヒル)を読み終えました。ラオ氏はコロンビア大学ビジネススクールでマーケティングを教えていたらしい・・・。マーケティングから幸福論という転身を最初は不可解と思いましたが、いずれも消費者の利益に資すると思えば、あながち大外れではないのかも。
 いくつもの示唆を得られる本で、大学で人気講義だったのはわかる気がします。ひとことで言えば、幸福も不幸も原因は自分にあるということ。例えば学生の多くは、就職できないのは景気が悪いからと思っています。でも現実は就職できている学生が少なくないのだから、景気のせいばかりにはできません。自分の考え方によるところも大きいわけです。このような「原因自分説」は珍しくもないとはいえ、実は読み手が抵抗を感じるところです。不幸の原因は自分の外(上司や会社や景気の悪さ、はたまた強欲な妻)にあると考えたいですからね。本書の優れているのは、読者の抵抗にも怯むことなく、外に原因を求めても救われない、と繰り返しているところです。目標を決めたら結果を追わないで、自分にできること、すなわちプロセスに投資せよ、というのが一例です。結果は神のみぞ知るなんですよ。
 これはカウンセラーやコーチと同じスタンスと言えます。私が國分康孝先生とアルバート・エリス先生から学んだ論理療法と同じ。現在のニューヨークのような大都会(コロンビアとエリス研究所はニューヨークにある)では欠かせないアプローチかも。
 私が注目したのは、俳優の生活ではなく役柄生きていると思え、というくだり。なるほど自己を相対化できれば、その分問題を修正できます。これもカウンセリングと同じです。この本は学生のためのサイコエデュケーションにもいいと思いました。
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