2011/03/23

リーダーの言動1

 震災の被災者のみなさんには、心からお見舞い申し上げます。私は中越地震の時に長岡に赴き、ささやかですが被災生活のお手伝いさせていただきました。そのときも長岡のみなさんはご苦労されましたが、今回は街全体がなくなってしまっている。大変なご心労とお察しします。

 時間がたつにつれて、日々新たな課題に直面しています。原発事故はその最たるもの。数万人の周辺住民が避難生活を余儀なくされています。原発のエネルギーで便利な生活を送っている都市生活者として、申し訳ない気持ちです。現在の豊かな都市生活だけでなく、CO2削減も、電気自動車推進も、原発を前提としたもの。原発プラント事業で買収や提携を進めてきた東芝や日立の経営にも大きな影響はさけられません。その背後には何十万という雇用があります。それだけ私たちは原発に依存していますよねえ。それなのに、私たちは自分の街の近くには原発を置かず、福島や福井などの都市から離れた沿岸部に追いやってきました。

 原発があればいつかこんなことがあり得ると思っていたものの、実際に起こってみると、やはり責任を分かち合わなければと思います。福島県の佐藤知事が国民にこの責任を感じてほしい、という旨の発言をされていました。私は同意しますが、現地の首長からそれを聞くのか・・・。政府からも同様の発言があるべきだと思います。本来は電力供給を受けている都県からも、あってしかるべきではないでしょうか。避難者の受け入れも、同情からか責任感からかは重要。リーダーのメッセージで、方向付けられると思うのですが。

 ようするに、市民の責任感は、リーダーの言動ひとつで変わってくるのでは、ということを思った次第。

 さて、先日石原都知事が首相官邸に抗議に赴いた、との記事がありました。何でも”政府関係者が東京消防庁職員に、放水しないなら処分する”といった、ということです。そのため無理な放水をして、放水車が故障したと。その関係者とは、海江田経産相なのだとか。海江田氏もそれを認めて謝罪したそうです。まあ、何とお粗末なことか。石原氏の言うとおり、こんなこと言っていては「兵隊は動かない」ですよね。
 私が思ったのは、なんでこんな馬鹿なことを言わなければならなかったのか。首相を目指す海江田氏の性格か、初めて大臣になって頑張りすぎてしまったのか。配下でない消防庁の職員が動かないので怒り心頭になったのか。まあ、いずれにしても立場を得たから人が動くのは幻想、といえるでしょう。このような脅しともとられる言動は、現場の職員にとってかなりの負のカレンシーとなっているはず。他の公務員や官僚も、それを見ていやなやつとおもっているに違いありません。
 この負のカレンシーは、いつか負のカレンシーとしてかえってきます。相手がいやがることをすれば、いつかその報いを受けるというわけですね。今回の消防庁の例は、彼らに高度な専門能力があり、リーダーがそれを必要としている状況です。そのうえ、海江田氏は上長ではない。現場から見れば、何言っているんだ、という程度のこと。すでに石原氏を通じて悪い評判(負のカレンシー)を手渡された海江田氏。海江田氏本人としてはリーダーシップを発揮したかったのでしょうが、負のカレンシーを散布した結果的、将来にわたって負のカレンシーをもらい続けることになるのかも。菅氏が優秀な政治家だったにもかかわらず、大臣になると何もできないのも、官僚を恫喝して負のカレンシーをばらまいてきたからだと思います。彼のために動いてくれる人は少ないに違いありません。海江田氏も影響力を落とさなければよいのですが。
 それにしても、リベラルの政治家に誤解が多いのは残念。なんでリベラルと思われる人ほど、怒鳴っちゃうのかなあ。リベラルでリーダーシップのある人、いないものでしょうかねえ。数少ない人材である、松沢神奈川県知事も無力化されたし(彼も”まともな”政治をやってきたので、それを負のカレンシーと考える行政改革の反対勢力に消されたのでは?なんて)。

 やはり、実るほど頭を垂れる稲穂かな。本当に改革をやろうと思ったら、忘れてはいけませんねえ。